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2019年2月

2019年2月28日 (木)

気管支鏡施行時の鎮静に関するremimazolam、midazolamとplaceboの比較

Pastis NJ, Yarmus LB, Schippers F, Ostroff R, Chen A, Akulian J, Wahidi M, Shojaee S, Tanner NT, Callahan SP, Feldman G, Lorch DG, Jr., Ndukwu I, Pritchett MA, Silvestri GA. Safety and Efficacy of Remimazolam Compared With Placebo and Midazolam for Moderate Sedation During Bronchoscopy. Chest 2019;155:137-46.

米国の30施設で行われたRCTで、気管支鏡検査施行時の鎮静薬としてremimazolam、midazolam、placeboを比較しています。すべての群でfentanylが併用されていますので、placebo群はfentanyl単独に該当します。remimazolam投与群300症例、その他の2群60症例ずつを対象とし、気管支鏡検査がrescue鎮静薬投与無しで完遂できることがprimary outcomeとなっています。結果としてprimary outcome達成率はremimazolam群で80.6%であったのに対して、midazolam群、placebo群では32.9%、4.8%であり、統計学的有意差が認められています。remimazolamによって速やかな回復が認められるとともに副作用には差が無かったと報告されています。

2019年2月26日 (火)

術前6分間歩行テストを用いた外科手術患者の術後生存予測

Shulman MA, Cuthbertson BH, Wijeysundera DN, Pearse RM, Thompson B, Torres E, Ambosta A, Wallace S, Farrington C, Myles PS. Using the 6-minute walk test to predict disability-free survival after major surgery. British journal of anaesthesia 2019;122:111-9.

カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで行われたobservational studyで、手術患者約532症例を対象として術前の6分間歩行距離(6MWD)、VO2、Duke activity scale indexなどの術前活動度評価指標と30日、12ヶ月のdisability free survivalとの関連を検討しています。対象患者の12ヶ月死亡率は2.9%、DFSは77%であったと報告されています。予後予測因子に関して最も有用な指標はDASIで、6MWDについても435m以下の症例では予後が不良であることが示されています。さらに6MWDが370m未満を閾値とした場合、高い精度で予後を予測しうることが示されています。

2019年2月25日 (月)

帝王切開時のnorepinephrine持続投与によるくも膜下ブロック後低血圧の予防

Hasanin AM, Amin SM, Agiza NA, Elsayed MK, Refaat S, Hussein HA, Rouk TI, Alrahmany M, Elsayad ME, Elshafaei KA, Refaie A. Norepinephrine Infusion for Preventing Postspinal Anesthesia Hypotension during Cesarean Delivery: A Randomized Dose-finding Trial. Anesthesiology 2019;130:55-62

エジプトの研究者が行ったRCTで、待期的帝王切開患者約290症例を対象として、脊髄くも膜下ブロック施行後の予防的なnorepinephrine投与の効果を0.025µg/kg/min、0.05µg/kg/min、0.075µg/kg/minの3つの量で比較した報告です。くも膜下ブロック施行前から20%以上の血圧低下の頻度は0.025µg/kg/min群で42%でしたが、より高用量群では24%程度であり、0.05µg/kg/minと0.075µg/kg/min群には有意差がなく、帝王切開時のnorepinephrine投与量としては0.05µg/kg/minが適当と考察されています。

2019年2月22日 (金)

新生児における血小板輸血閾値に関するRCT

Curley A, Stanworth SJ, Willoughby K, Fustolo-Gunnink SF, Venkatesh V, Hudson C, Deary A, Hodge R, Hopkins V, Lopez Santamaria B, Mora A, Llewelyn C, D'Amore A, Khan R, Onland W, Lopriore E, Fijnvandraat K, New H, Clarke P, Watts T. Randomized Trial of Platelet-Transfusion Thresholds in Neonates. The New England journal of medicine 2019;380:242-51.

英国、アイルランドおよびオランダで行われたRCTで、未熟児に対する予防的血小板輸血が予後に及ぼす影響を比較しています。群分けとしては血小板5万で血小板輸血を行うhigh threshold群と2.5万で血小板輸血を行うlow threshold群の2群とし、28日までの脳室内出血などのevent、生存率などを比較しています。在胎平均27週、平均体重740gの未熟児660症例を対象として検討した結果、low threshold群の方が予後が良好であることが示されています。

2019年2月21日 (木)

心停止蘇生後患者における高平均動脈圧と神経学的予後の関連

Roberts BW, Kilgannon JH, Hunter BR, Puskarich MA, Shea L, Donnino M, Jones C, Fuller BM, Kline JA, Jones AE, Shapiro NI, Abella BS, Trzeciak S. Association Between Elevated Mean Arterial Blood Pressure and Neurologic Outcome After Resuscitation From Cardiac Arrest: Results From a Multicenter Prospective Cohort Study. Critical care medicine 2019;47:93-100.

米国の6施設で行われたobservational studyで、心停止蘇生後患者280症例を対象として蘇生後6時間以内の平均血圧(MAP)と予後の関連を検討しています。対象患者のうち蘇生後のMAPが70mmHg未満の11症例を除外し、MAP 70~90mmHgの患者とMAP>90mmHgの患者で予後を比較しています。MAP>90mmHgの患者は対象症例の59%であり、退院時の生存率、神経学的予後などいずれの評価項目においてもMAP 70~90mmHgの患者より有意に良好であることが示されています。特に既往症に高血圧があった症例で著明な改善が認められたと報告されています。

2019年2月19日 (火)

EKGの相対的delta powerによる術後せん妄の検出

Numan T, van den Boogaard M, Kamper AM, Rood PJT, Peelen LM, Slooter AJC. Delirium detection using relative delta power based on 1-minute single-channel EEG: a multicentre study. British journal of anaesthesia 2019;122:60-8.

オランダの研究者がまとめたprospective studyで、術後患者におけるせん妄を3箇所の電極で1分間測定した脳波の周波数解析で予測できるかどうかを検討しています。脳波による指標としては1~4Hzのdelta波の相対的powerが用いられています。60歳以上の手術患者159症例を対象として検討した結果、CAM-ICUでせん妄またはせん妄の可能性ありと診断された症例は23.3%であり、これらの症例では有意にrelative delta powerが増加していることが示されています。

2019年2月18日 (月)

乳がん手術患者における完全静脈麻酔と吸入麻酔の比較

Yoo S, Lee HB, Han W, Noh DY, Park SK, Kim WH, Kim JT. Total Intravenous Anesthesia versus Inhalation Anesthesia for Breast Cancer Surgery: A Retrospective Cohort Study. Anesthesiology 2019;130:31-40.

韓国の1施設で行われたretrospective studyで、麻酔方法と乳がん患者の予後の関連を検討しています。2005年から2013年までの約3500症例を対象として5年間予後を追跡した結果、TIVAと揮発性麻酔薬の間に死亡率に関する有意差は認められませんでした。

2019年2月15日 (金)

迅速導入における輪状軟骨圧迫と模擬圧迫の比較

Effect of Cricoid Pressure Compared With a Sham Procedure

in the Rapid Sequence Induction of Anesthesia JAMA surgery 2019;154:9

フランスの10施設で行われた多施設RCTで、緊急手術、肥満、逆流性食道炎など誤嚥のリスクを有する全身麻酔患者において輪状軟骨圧迫と模擬圧迫を比較した報告です。肉眼で確認できる誤嚥および誤嚥性肺炎の頻度が用いられており、模擬圧迫が輪状軟骨圧迫に対して非劣性であるとの仮説を検証しています。対象患者約3500症例で誤嚥、誤嚥性肺炎の発生には群間差がありませんでしたが、発生率自体が0.5%と予想より低く、非劣性を証明するには至りませんでした。一方、輪状軟骨圧迫群では有意に喉頭の視野が不良であることが明らかになりました。

2019年2月14日 (木)

ARDS患者に対する高カロリー栄養投与と臓器不全の併存は予後を悪化させる

Peterson SJ, McKeever L, Lateef OB, Freels S, Fantuzzi G, Braunschweig CA. Combination of High-Calorie Delivery and Organ Failure Increases Mortality Among Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome. Critical care medicine 2019;47:69-75.

2015年にJPENに掲載されたIMPACT trialの2次解析で、ARDS患者に対する7日目までのカロリー投与と院内死亡率の関連を検討しています。対象はIMPACT trialの組み入れ基準を満たしたものの同意が取得できなかったなどの理由でrandomizationに至らなかった約300症例を対象として解析しています。SOFA  scoreで重症度で調整した結果、重症度が高く、7日目までに高カロリーを投与された症例群でもっとも予後が不良であることが示されています。結論では重症患者に対する早期カロリー投与は慎重に行うべきと述べられています。

2019年2月12日 (火)

輪状軟骨圧迫のトレーニングに関するsimulation-baseの研究

Noll E, Shodhan S, Varshney A, Gallagher C, Diemunsch P, Florence FB, Romeiser J, Bennett-Guerrero E. Trainability of Cricoid Pressure Force Application: A Simulation-Based Study. Anesthesia and analgesia 2019;128:109-16.

米国で行われた麻酔科医、CRNAおよび手術室看護師を対象として行われたstudyで、simulation講習によって輪状軟骨圧迫(CP)の際に適切な加圧を行う頻度が向上するかどうかを検討しています。CPの適正圧は意識消失前は10N、意識消失後は30Nとされており、本研究では±5Nを許容範囲としています。100名の被験者で検討した結果、simulation講習前に適切な圧迫が行えた被験者はほぼゼロであったと報告されています。30回のsimulationで約50%が適切な加圧が出来るようになりましたが、80%で適切な加圧が可能になるには100回のsimulationが必要と試算されています。

2019年2月 8日 (金)

神経筋遮断薬使用後の肺合併症

Kirmeier E, Eriksson LI, Lewald H, Jonsson Fagerlund M, Hoeft A, Hollmann M, Meistelman C, Hunter JM, Ulm K, Blobner M. Post-anaesthesia pulmonary complications after use of muscle relaxants (POPULAR): a multicentre, prospective observational study. The Lancet Respiratory medicine 2019;7:129-40.

欧州で行われた多施設observational studyで、神経筋遮断薬使用と術後肺合併症の関連を検討しています。211施設約2万1千症例を対象として検討した結果、術後肺合併症の発生頻度は7.6%、リスク因子としては開胸手術または上腹部手術、手術時間2時間以上、術前SpO2<94%、緊急手術、ASA PS>3、60歳以上に加えて、神経筋遮断薬使用のORが1.86であることが示されています。さらに筋弛緩モニタ使用、sugammadexによる拮抗およびTOFR>0.9までの回復によっても有意なリスクの減少が認められないことが示されています。特に低リスクで単純な手術を受ける患者で神経筋遮断薬と肺合併症の関連が強いことから、これらの症例では声門上器具を用いて神経筋遮断薬を使用しないことにメリットがあると考察されています。

2019年2月 7日 (木)

ABCDE bundleによる重症患者のケア

Pun BT, Balas MC, Barnes-Daly MA, Thompson JL, et al. Caring for Critically Ill Patients with the ABCDEF Bundle: Results of the ICU Liberation Collaborative in Over 15,000 Adults. Critical care medicine 2019;47:3-14.

米国で行われた多施設studyで、ABCDEF bundle施行がpost ICU syndromeに及ぼす影響を検討しています。outcomeとしては生存率、人工呼吸期間、再入室、自宅への退院、コントロール不良の疼痛、せん妄、意識障害、身体抑制の頻度などが用いられています。約1万5千症例を対象として解析した結果、ABCDEF bundleが100%施行された症例ではその他の症例と比較してoutcomeが有意に良好であることが示されています。またABCDEF bundleの適応率とoutcomeの間にはdose-responseが認められています。結論ではABCDEF bundleは重症患者の予後を改善すると述べられています。

2019年2月 5日 (火)

超音波による胃内容量評価の精度

Kruisselbrink R, Gharapetian A, Chaparro LE, Ami N, Richler D, Chan VWS, Perlas A. Diagnostic Accuracy of Point-of-Care Gastric Ultrasound. Anesthesia and analgesia 2019;128:89-95.

カナダの研究者が行ったprospective studyで、volunteer 40名を対象として超音波による胃内容量評価の精度を検証しています。volunteerを8時間禁食群と直前経口摂取群に分け、胃幽門部の断面積を用いた胃内容量予測と超音波画像に基づくfluid、solid foodの区別で評価しています。経口摂取群は250mlのapple juiceまたはmuffinとcoffeeからなる軽食のいずれかを摂取しています。80回の評価が行われ、禁食群40回の評価で1回false positiveが出ていますが、このほかはすべて正しく評価されています。尚、42名のvolunteerのうち、2名が8時間禁食にもかかわらず胃内容が認められており、胃からの排出には個人差が大きいと述べられています。

2019年2月 4日 (月)

重症術後患者における晶質液と膠質液が合併症発生率に及ぼす影響の比較

Heming N, Lamothe L, Jaber S, Trouillet JL, Martin C, Chevret S, Annane D. Morbidity and Mortality of Crystalloids Compared to Colloids in Critically Ill Surgical Patients: A Subgroup Analysis of a Randomized Trial. Anesthesiology 2018;129:1149-58.

2013年にJAMAに掲載されたCRYSTAL trialの2次解析で術後患者741症例に限定した解析が行われています。対象患者の73%が緊急手術、51%がsepsisを併発していたと述べられています。膠質液投与群で24時間までの投与水分量が有意に少なかったと報告されています。28日死亡率、90日死亡率、腎代替療法士効率、ICU在室期間などには有意差が認められず、生存に関しては輸液による差が無いと結論されています。

2019年2月 1日 (金)

食道癌患者に対する術前prehabilitationが運動耐用能に及ぼす影響

Minella E et al. Effect of Exercise and Nutrition Prehabilitation on Functional

Capacity in Esophagogastric Cancer Surgery: A Randomized Clinical Trial JAMA surgery 2018;153:1081-89

12月号の記事の紹介です。カナダの研究者が行ったRCTで、食道癌の術前患者51症例を対象としてprehabilitationが6min walk distance (6MWD) の変化に及ぼす影響を通常のERAS群と比較したした報告です。術前prehabilitation群では介入として有酸素運動、筋力強化およびタンパク摂取量の増加が用いられており、介入期間の中央値は36日と記載されています。対照群では初診時、手術直前、術後と経時的に6MWDが減少したのに対して、prehabilitation群では手術直前には有意な増加、術後も初診時とほぼ同程度の6MWDを達成しています。術後合併症の頻度には有意差が認められていませんが、検出力が十分とは言えないと考察されています。

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近況報告

  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後に筋弛緩に関するシンポジウムが予定されています。多数のご参加をお待ちしております。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
  • 病院移転
    管理人の勤務先の新病院への移転が6/16に行われ、無事終了いたしました。
  • 集中治療医学会@幕張
    2/22(木)の午後のCTG委員会企画のシンポジウムに多数ご参加頂きありがとうございます。
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