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2019年4月

2019年4月30日 (火)

夜間手術と術中合併症、術後肺合併症の関連

Cortegiani A, Gregoretti C, Neto AS, et al. Association between night-time surgery and occurrence of intraoperative adverse events and postoperative pulmonary complications. Br J Anaesth 2019; 122: 361-369.

2017年にEur J Anaesthに掲載された多施設研究LAS VEGAS studyの2次解析で20:00から翌朝8:00までに麻酔導入が行われた場合、術中adverse eventsおよび術後呼吸器合併症のリスクが増加するかどうかを検証しています。対象症例約9900症例の5.6%が20:00から翌朝8:00までに麻酔導入が行われていますが、このうち72%が待期的手術であったと述べられています。多変量logistic解析では夜間の麻酔導入は術中adverse eventsおよび術後呼吸器合併症の独立したリスク因子であることが示されていますが、傾向スコアマッチングでは術中adverse eventには有意差がありましたが、呼吸器合併症には有意差は認められず、呼吸器合併症については麻酔導入のタイミング以外の要素が関与していると結論されています。

 

2019年4月26日 (金)

冠動脈bypass手術における吸入麻酔と静脈麻酔の比較

Landoni G, Lomivorotov VV, Nigro Neto C, et al. Volatile Anesthetics versus Total Intravenous Anesthesia for Cardiac Surgery. N Engl J Med 2019; 380: 1214-1225.

イタリアの研究者が行った多施設RCTで、on-pump、off-pumpを含めた冠動脈bypass手術患者3500症例を対象として、麻酔薬による12ヶ月死亡率への影響を比較した報告です。吸入麻酔薬群投与に関しては1MACを最低30分吸入など3つの介入のうちいずれかを行うことと定義されています。主要評価項目である12ヶ月死亡率、2次評価項目である30日死亡率、術後心筋梗塞などについて両群に差は認められず、冠動脈bypass術において吸入麻酔薬による保護作用は示されませんでした。

2019年4月25日 (木)

上半身挙上、impedance threshold deviceなどからなる心肺蘇生バンドルの安全性および実用性の検証

Pepe PE, Scheppke KA, Antevy PM, et al. Confirming the Clinical Safety and Feasibility of a Bundled Methodology to Improve Cardiopulmonary Resuscitation Involving a Head-Up/Torso-Up Chest Compression Technique. Crit Care Med 2019; 47: 449-455.

米国florida州のemergency medical serviceのdataを用いたbefore-after studyで、蘇生中の脳血流改善を目的としたbundle導入によって蘇生成功率が向上したかどうかを検討しています。bundleはいわゆるactive compression-decompressionによる胸部圧迫、impedance threshold deviceの使用、蘇生初期の陽圧呼吸回避、蘇生途中から20°のreverse trenderenburg体位などからなっています。3年6ヶ月の研究期間に約2300症例の院外心停止患者に対する蘇生が行われ、bundle適応前の神経学的予後良好な蘇生率が15%程度であったのと比べ、bundle適応後の蘇生率が35%程度まで改善していることが示されています。

 

2019年4月23日 (火)

preoxigenation後の低酸素血症の頻度およびリスク因子

Baillard C, Boubaya M, Statescu E, et al. Incidence and risk factors of hypoxaemia after preoxygenation at induction of anaesthesia. Br J Anaesth 2019; 122: 388-394.

フランスの3施設で行われたprospective, observational studyで、麻酔導入から気道確保終了までの期間のSpO2低下のリスク因子を解析した報告です。preoxygenationは仰臥位で100%酸素12lを最低3分間投与することで行われています。対象患者約2400症例のうちSpO2<95%は6.6%、SpO2<90%は1.4%でした。SpO2低下のリスク因子はCOPD、高血圧、マスク換気困難、挿管困難が挙げられています。また3分間の酸素投与でも呼気O2濃度が90%に達しない症例(difficult preoxygenation)が50%、5分間酸素投与でも呼気O2濃度が90%に達しない症例が30%であることが示されています。2次解析として行われたマスク換気困難、挿管困難の発生頻度はいずれも6%であることが示されています。

 

2019年4月22日 (月)

肺炎由来のARDS患者ではNETsが増加している

Bendib I, de Chaisemartin L, Granger V, Schlemmer F, Maitre B, Hue S, Surenaud M, Beldi-Ferchiou A, Carteaux G, Razazi K, Chollet-Martin S, Mekontso Dessap A, de Prost N. Neutrophil Extracellular Traps Are Elevated in Patients with Pneumonia-related Acute Respiratory Distress Syndrome. Anesthesiology 2019;130:581-91.

フランスの研究者が行ったprospective, observational studyで、moderateからsevere ARDS患者35症例および対照患者4名を対象としてBALF中および血漿のNETs濃度の意義を検討しています。NETsはneutrophil extracellular trapの略で、ARDSを含む炎症性病態で感染制御および好中球由来の組織障害の両面に関与していると考えられています。ARDS患者ではBALF中のNETs濃度が対象患者と比較して有意に高値であることが示されています。また、BALF中の好中球数と正の相関関係が認められています。ARDS患者をBALF中のNETs濃度で2群に分けて解析した結果、NETs濃度高値群で酸素化が良好かつ28 day ventilator free daysが高目ですが、統計学的有意差には至っていません。

 

2019年4月16日 (火)

開腹手術後30日までの再入院と筋弛緩拮抗との関連

Oh TK, Oh AY, Ryu JH, et al. Retrospective analysis of 30-day unplanned readmission after major abdominal surgery with reversal by sugammadex or neostigmine. Br J Anaesth 2019; 122: 370-378.

韓国の研究者がまとめたretrospective studyで、開腹手術患者における退院から30日までの再入院と筋弛緩拮抗の関連を検討しています。解析に際してsugammadexとneostigmineの比較、手術侵襲の程度、rocuronium総投与量、remifentanil総投与量が説明変数として用いられています。propensity matchしたsugammadex群約350症例、neostigmine群約1200症例を比較した結果、sugammadexによる拮抗は30日までの再入院リスクを有意に減少させることが示されています。

 

2019年4月15日 (月)

院内心停止患者でのCPR, 除細動およびepinephrine投与の遅れは生存率を低下させる

 Bircher NG, Chan PS, Xu Y, et al. Delays in Cardiopulmonary Resuscitation, Defibrillation, and Epinephrine Administration All Decrease Survival in In-hospital Cardiac Arrest. Anesthesiology 2019; 130: 414-422.

米国の大規模databaseを用いた解析で、院内心停止事例約5万7千件を対象として、心停止覚知からCPR開始までの時間、shockable rhythmでのDC施行、非shockable rhythmでのepinephrine投与までの時間と予後の関連を検討しています。内訳はshockable rhythm、DC群が約1万1千件、非shockable rhythm、epinephrine群が約4万6千件となっています。主な知見としては院内心停止であってもCPR開始まで1分以上を要した症例が6%程度存在すること、いずれの病態であってもCPR開始の遅れが予後を悪化させること、CPR開始からDC施行、あるいはCPR開始からepinephrine投与までの間隔が延びると予後が悪化すること、とまとめられています。


 

2019年4月12日 (金)

一般病棟におけるchlorhexidine清拭と通常の清拭が多剤耐性菌およびすべての菌による血流感染症に及ぼす影響

Huang SS, Septimus E, Kleinman K, Moody J, Hickok J, Heim L, Gombosev A, Avery TR, Haffenreffer K, Shimelman L, Hayden MK, Weinstein RA, Spencer-Smith C, Kaganov RE, Murphy MV, Forehand T, Lankiewicz J, Coady MH, Portillo L, Sarup-Patel J, Jernigan JA, Perlin JB, Platt R. Chlorhexidine versus routine bathing to prevent multidrug-resistant organisms and all-cause bloodstream infections in general medical and surgical units (ABATE Infection trial): a cluster-randomised trial. Lancet (London, England) 2019;393:1205-15.

米国の研究者が行ったRCTで、一般病棟におけるchlorhexidine清拭(bathing and showering)が多剤耐性菌、血流感染症の頻度を減少させるかどうかを検討しています。評価としてはMRSAおよびVREの検出頻度およびCVC挿入患者における血流感染症の頻度が用いられています。米国の53施設、計194病棟を対象とし、12ヶ月間のbaseline dataを収集した上で、chlorhexidine清拭を行う病棟と通常管理の病棟に割り付けています。割り付け後の対象患者約34万症例を対象として検討した結果、chlorhexidine清拭によってMRSAおよびVREの検出頻度は減少していますが、統計学的有意差には至っていません。一方、対象患者の約10%に相当するCVC挿入患者では有意に血流感染症の頻度が減少することが示されています。





 

2019年4月11日 (木)

VAPと非挿管患者における細菌性肺炎が死亡リスクに及ぼす影響の比較

Ibn Saied W, Mourvillier B, Cohen Y, Ruckly S, Reignier J, Marcotte G, Siami S, Bouadma L, Darmon M, de Montmollin E, Argaud L, Kallel H, Garrouste-Orgeas M, Soufir L, Schwebel C, Souweine B, Glodgran-Toledano D, Papazian L, Timsit JF. A Comparison of the Mortality Risk Associated With Ventilator-Acquired Bacterial Pneumonia and Nonventilator ICU-Acquired Bacterial Pneumonia. Crit Care Med 2019; 47: 345-52.

フランスで行われた多施設観察研究outcomerea studyの2次解析で、侵襲的人工呼吸に伴うVAPと非侵襲的人工呼吸に併発するICU-HAP (ICU hospiral acquired pneumonia)の疫学を比較した報告です。フランス23施設で2日以上侵襲的人工呼吸あるいは非侵襲的人工呼吸を受けた症例をVAPあるいはICU-HAPのリスク症例と定義しています。それぞれrisk症例の15%、2%でVAP, ICU-HAPが発生していることが示されています。VAP、ICU-HAPを発症した症例では有意に30日死亡のリスクが増加することが示されています。一方、抗菌薬治療が適切であったかどうかは予後のリスク因子には当たらないことが示されています。


 

2019年4月 9日 (火)

肥満患者における非侵襲的連続的血圧測定

Rogge DE, Nicklas JY, Schon G, Grothe O, Haas SA, Reuter DA, Saugel B. Continuous Noninvasive Arterial Pressure Monitoring in Obese Patients During Bariatric Surgery: An Evaluation of the Vascular Unloading Technique (Clearsight system). Anesth Analg 2019; 128: 477-83.

ドイツの研究者が行ったprospective, observational studyで、BMI>35kg/m2の肥満患者35症例を対象として非観血的連続的血圧測定(ClearSightシステム)と観血的動脈圧測定を比較した報告です。比較には従来から用いられているBland-Altman分析に加えて、concordance analysis, error grid analysisという手法が用いられています。結果として平均動脈圧、拡張期圧に関する一致度はgoodですが、収縮期圧に関してはmoderateであることが明らかになっています。

 

2019年4月 8日 (月)

ARDS患者におけるAquaporinの遺伝子多型は炎症反応の程度および予後に影響する

 Rahmel T, Rump K, Peters J, Adamzik M. Aquaporin 5 -1364A/C Promoter Polymorphism Is Associated with Pulmonary Inflammation and Survival in Acute Respiratory Distress Syndrome. Anesthesiology 2019; 130: 404-13.

ドイツの研究者が行ったobservational studyで、重症のARDS患者136症例を対象としてaquaporin-5 (AQP 5)の遺伝子多型と肺における炎症、死亡率の関連を検討しています。著者らは2011年にAnesthesiologyにsepsis患者で、AQP 5にCという遺伝子を有する患者では炎症が抑制され、予後が良好であることことを示しています。今回は肺における炎症の指標としてBALF中のタンパク、albumin濃度、白血球数、LDH活性などを用いています。対象患者のうち43症例でC遺伝子が認められ、C遺伝子を有する患者ではBALF中のタンパク、albumin濃度、白血球数、LDH活性が低値で、30日生存率が有意に高いことが示されています。とはいえ、考察ではAQP 5におけるC遺伝子は"double edge sword"ではないかと述べられています。

 

2019年4月 5日 (金)

ARDS患者におけるPEEP設定が予後に及ぼす影響

Beitler JR, Sarge T, Banner-Goodspeed VM, Gong MN, Cook D, Novack V, Loring SH, Talmor D. Effect of Titrating Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) With an Esophageal Pressure-Guided Strategy vs an Empirical High PEEP-Fio2 Strategy on Death and Days Free From Mechanical Ventilation Among Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial. Jama 2019.

北米で行われた多施設RCTで、moderateからsevere ARDS患者における2つのPEEP設定方法が予後に及ぼす影響を検討しています。食道内圧を測定し、経肺圧を0~6cmH2Oに維持する群とOSCILLATE trialで用いられた高めのFiO2-PEEP対応表を用いる群で比較しています。14施設、200症例を対象として検討した結果、当初のPEEP平均値は17cmH2O、16cmH2O、その後の経過においてもPEEP設定値には有意差は認められませんでした。予後に関しても有意差はなく、ARDS患者において経肺圧に基づいたPEEP設定の有用性は認められませんでした。

 

2019年4月 4日 (木)

ARDSによる死亡率の経時的減少

Zhang Z, Spieth PM, Chiumello D, Goyal H, Torres A, Laffey JG, Hong Y. Declining Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: An Analysis of the Acute Respiratory Distress Syndrome Network Trials. Crit Care Med 2019; 47: 315-23.

これまでにARDS Netがsponsorとなって行った9つのRCTのデータを用いてARDSによる死亡率の経時的変化を検討しています。特に一回換気量、plateau圧、PEEP、および水分管理の変遷との関連を検討しています。主要評価項目は90日死亡率が用いられていますが、副次評価項目として退院後の呼吸補助(home UAB)も評価しています。結果として1996年当時のARDSによる90日死亡率が35.4%であったのに対して2013年には28.3%に低下しています。背景因子を調整した結果、年次よりも一回換気量制限、plateau圧制限、高めのPEEP設定、および制限的水分管理が寄与していることが明らかになっています。home UABの頻度は17年間で53.5%増加しています。

 

2019年4月 2日 (火)

全身麻酔中の疼痛の指標としてのpupillary pain indexの検討

Sabourdin N, Diarra C, Wolk R, Piat V, Louvet N, Constant I. Pupillary Pain Index Changes After a Standardized Bolus of Alfentanil Under Sevoflurane Anesthesia: First Evaluation of a New Pupillometric Index to Assess the Level of Analgesia During General Anesthesia. Anesthesia and analgesia 2019;128:467-74.

フランスの研究者が行ったprospective, observational studyで、小児全身麻酔患者を対象として侵害刺激による瞳孔径の変化から算出するpupillary pain index (PPI)という指標の信頼性を検証したpilot studyです。PPIは尺骨神経へのtetanus刺激によって生じる瞳孔径の変化を見るもので刺激の強度を調節することによって侵害刺激に対する交感神経の反応を10段階の数値として表すものです。平均年齢9歳の20症例を対象としてsevoflurane麻酔下でalfentanyl投与前後でPPIおよび血行動態の変化を比較しています。結果としてalfentanyl投与によりPPIが低下しています。一方、尺骨神経へのtetanus刺激による体動、血行動態変動は認められず、PPIは侵害刺激に対するオピオイドによる先制鎮痛を調節する際に有用と結論されています。

 

2019年4月 1日 (月)

胸部外科手術中の換気駆動圧に関するRCT

 Park M, Ahn HJ, Kim JA, Yang M, Heo BY, Choi JW, Kim YR, Lee SH, Jeong H, Choi SJ, Song IS. Driving Pressure during Thoracic Surgery: A Randomized Clinical Trial. Anesthesiology 2019;130:385-93.

韓国の研究者が施行したRCTで、一側肺換気中の換気様式が術後3日までの呼吸器合併症の発生頻度に及ぼす影響を検討しています。換気様式としてはTV 6ml/kg、PEEP 5cmH2Oの肺保護換気群とTV 6ml/kgを固定した上でPEEPを2cmH2Oから漸増させ、換気駆動圧(プラトー圧-PEEP)が最小となるPEEPを決定する換気駆動圧群で比較しており、肺合併症としてはMelbourne Group Scale 4points以上で評価しています。結果として換気駆動圧は換気駆動圧群で1cmH2O低く、換気駆動圧群でのPEEPも3cmH2Oと肺保護換気群よりも低値であったことが示されています。
Melbourne Group Scale 4points以上の発生率が肺保護換気群では12.2%であったのに対して換気駆動圧群では5.5%で有意に肺合併症発生率が低く、一側肺換気中は換気駆動圧を重視した換気設定が推奨されると述べられています。

 

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近況報告

  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後に筋弛緩に関するシンポジウムが予定されています。多数のご参加をお待ちしております。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
  • 病院移転
    管理人の勤務先の新病院への移転が6/16に行われ、無事終了いたしました。
  • 集中治療医学会@幕張
    2/22(木)の午後のCTG委員会企画のシンポジウムに多数ご参加頂きありがとうございます。
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