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2019年8月

2019年8月30日 (金)

蘇生輸液としての生理食塩水とアルブミンの比較:FEAST trial結果の再解析

Levin M, Cunnington AJ, Wilson C, et al. Effects of saline or albumin fluid bolus in resuscitation: evidence from re-analysis of the FEAST trial. The Lancet Respiratory medicine 2019;7:581-93.

2011年にN Engl J Medに掲載され、アフリカでの小児に対する生理食塩水または5%アルブミンによる輸液蘇生が死亡リスクを増加させることを示したFEAST trialの2次解析で、新たに考案したscoring systemを用いて死亡リスクに関連する因子の解析を試みた報告です。輸液蘇生によって循環系scoreは改善しましたが、肺、中枢神経系のscoreが悪化すると共に、貧血、高Cl血症、代謝性acidosisが進行することが示されています。結果の解釈として輸液蘇生に用いられた非緩衝性輸液と輸液負荷の量が予後不良と関連したと述べられています。

 

2019年8月29日 (木)

ショック患者における栄養投与経路が腸管粘膜に及ぼす影響

Piton G, Le Gouge A, Brule N, et al. Impact of the route of nutrition on gut mucosa in ventilated adults with shock: an ancillary of the NUTRIREA-2 trial. Intensive care medicine 2019;45:948-56.

2018年にJAMAに掲載されたNUTRIREA studyのsubstudyで、経腸栄養と非経腸栄養が腸管細胞の機能に及ぼす影響を比較しています。original studyと同様の組み入れ基準に合致した135症例を対象とし、腸管細胞の数および機能の指標として血中citrulline、腸管細胞傷害の指標として血中I-FABP濃度を比較しています。結果として経腸栄養群で血中citrulline、I-FABPのいずれも高値であり、経腸栄養により腸管細胞の数および機能は維持されますが、傷害が増悪することを示した結果であり、考察では予期しない結果となったと述べられています。




 

2019年8月27日 (火)

非心臓手術患者における心拍数調節不全と心筋傷害の関連

 Abbott TEF, Pearse RM, Beattie WS, et al. Chronotropic incompetence and myocardial injury after noncardiac surgery: planned secondary analysis of a prospective observational international cohort study. British journal of anaesthesia 2019;123:17-26.

2018年にLancetに掲載されたMETS studyの2次解析で、心拍数調節不全と術後72時間までのtroponin上昇および1年後死亡率の関連を検討しています。心拍数調節不全の指標としては術前ergometerによる酸素消費量測定testの際の心拍数上昇およびtest終了時の心拍数低下が用いられています。1325症例を対象として解析した結果、心筋傷害は12%、1年後死亡は2.5%途方濃くされています。ergometerによる酸素消費量測定testの際の心拍数上昇不良と潜在的な心不全との関連が認められましたが、心筋傷害、死亡率との関連は認められませんでした。一方、test終了時の心拍数低下は術後72時間までのtroponin上昇との有意な関連が認められました。結語では術後心筋傷害の頻度が高く、副交感神経機能不全と関連があると述べられています。





 

2019年8月26日 (月)

非心臓手術をうける患者における術前自動血圧測定と術中低血圧の関連

 Saugel B, Reese PC, Sessler DI, et al. Automated Ambulatory Blood Pressure Measurements and Intraoperative Hypotension in Patients Having Noncardiac Surgery with General Anesthesia: A Prospective Observational Study. Anesthesiology 2019;131:74-83.

術中低血圧と予後の関連が注目されていますが、術中低血圧の定義には術前、とくに睡眠中の血圧を基準とすることが妥当かもしれません。本研究はドイツの研究者が行ったprospective studyで、術前24時間非観血的血圧測定を装着して測定した血圧と麻酔導入後の血圧の関連を検討しています。対象患者370症例に対して院内あるいは自宅で24時間30分ごとに血圧を測定し、導入前および導入後の血圧との相関を評価しています。結果としていずれも統計学的には有意ですが、弱い相関しか認められておらず、術前に測定した血圧から導入後の血圧を推定することは困難という結論になっています。

 

2019年8月23日 (金)

成人敗血症患者に対する州当局が要求するprotocol化された治療と院内死亡率との関連

Kahn JM, Davis BS, Yabes JG, et al. Association Between State-Mandated Protocolized Sepsis Care and In-hospital Mortality Among Adults With Sepsis. Jama 2019;322:240-50.

米国のNew York州では2013年から敗血症の診断、治療のprotocol遵守に関して州政府が医療機関に対して規制を行っています。具体的には3時間以内の抗菌薬投与、6時間以内の輸液蘇生、継続的な教育活動などです。本研究では敗血症患者の30日死亡率に関して規制前後および規制のない他の州との比較を行い、州政府の規制の効果を評価しています。敗血症による死亡率はNew York州、他の州いずれでも経時的に減少しています。New York州では他の州と比較して敗血症の死亡率が高く、規制適用後の死亡率の低下率が他の州よりも有意に高く、規制導入が死亡率を低下させる効果が認められると結論しています。考察ではNew York州と他の州の医療環境の差が影響した可能性が挙げられています。

 

2019年8月22日 (木)

重症敗血症、敗血症性ショック患者における制限的輸液戦略に関するRCT

Corl KA, Prodromou M, Merchant RC, et al. The Restrictive IV Fluid Trial in Severe Sepsis and Septic Shock (RIFTS): A Randomized Pilot Study. Critical care medicine 2019;47:951-9.

米国の2施設で行われたpilot RCTで、敗血症患者における初期蘇生後の制限的輸液の安全性を検証しています。ER経由でICUにおいて治療を受けた敗血症患者109症例を対象として、1000mlの蘇生輸液後72時間までの輸液量に関して60ml/kg以下に制限した制限群と制限の無いusual care群に分けて30日死亡率などを比較しています。蘇生輸液量は制限群で47.1ml/kg、usual care群で61.1ml/kgとなり、既報と比較してusual care群でも制限輸液に該当する結果となっています。30日死亡率を含めた評価項目のほとんどで有意差は認められていませんが、制限群で人工呼吸期間がほぼ1日短いことが示されています。考察では敗血症患者に対する制限的輸液の安全性が示された結果と述べられています。

 

2019年8月20日 (火)

肥満妊婦における脊髄くも膜下ブロックの際の超音波ガイド法とlandmark法の比較

 Li M, Ni X, Xu Z, et al. Ultrasound-Assisted Technology Versus the Conventional Landmark Location Method in Spinal Anesthesia for Cesarean Delivery in Obese Parturients: A Randomized Controlled Trial. Anesthesia and analgesia 2019;129:155-61.

中国の研究者が行ったRCTで、脊髄くも膜下ブロック施行時の超音波prescanが成功率、所要時間を改善するかどうかを検討しています。BMI>35kg/m2の待機的帝王切開患者80症例を超音波prescan群とlandmark群に分けて比較しています。結果として超音波prescanによって穿刺回数が1/3、穿刺後の穿刺針の方向変更が1/7に減少することが示されています。BMI<35kg/m2の症例では超音波prescan群の方が所要時間が長くなっていますが、BMI>35kg/m2では逆に超音波prescan群の方が所要時間が短くなっています。

 

2019年8月19日 (月)

肥満患者における腹腔鏡手術時の気道閉塞

Grieco DL, Anzellotti GM, Russo A, et al. Airway Closure during Surgical Pneumoperitoneum in Obese Patients. Anesthesiology 2019;131:58-73.

イタリアの研究者が行ったRCTの2次解析で、麻酔導入時と気腹下Trenderenburg体位で末梢気道閉塞の有無で肺Mechanicsにいかなる変化が生じるかを検討しています。originalのRCTは腹腔鏡下婦人科手術をうけるBMI>35kg/m2の肥満患者50症例を対象として肺保護換気の有用性を検討する内容となっています。本解析では仰臥位で末梢気道閉塞が生じた11症例と末梢気道閉塞が認められなかった11症例で比較しています。末梢気道閉塞が生じた11症例では末梢気道閉塞の指標であるairway opening pressureが仰臥位で9cmH2O、Trenderenburg体位で21cmH2Oまで増加していることが示されています。また末梢気道閉塞が生じた症例では呼気終末肺容量が増加しており、気腹下Trenderenburg体位の肥満患者では無気肺が増加しているという従来の概念とは異なる結果となっています。



 

2019年8月16日 (金)

ICUで呼吸管理をうけた患者におけるPTSDに対するICU diaryの効果

Garrouste-Orgeas M, Flahault C, Vinatier I, et al. Effect of an ICU Diary on Posttraumatic Stress Disorder Symptoms Among Patients Receiving Mechanical Ventilation: A Randomized Clinical Trial. Jama 2019;322:229-39.

フランスの35施設で行われた多施設RCTで、ICU在室中のICU diaryを閲覧することが3ヶ月後のPTSDを減らせるかどうかを検証した報告です。ICU diaryは主治医、看護staffおよび患者家族が記載することとされており、患者あたりの中央値が13.5pageとされています。約660症例を対象としてIES-Rという指標を用いて比較した結果、3ヶ月後の患者のPTSDの頻度には有意差は認められませんでした。secondary outcomeとしての抑うつ、不安、delusional memory、emotional memoryなどに関しても有意差は認められず、ICU diaryはICUでの治療後のPTSDを予防する効果が認められなかったと結論されています。

 

2019年8月15日 (木)

術後患者における平均血圧と術後急性腎傷害、心筋障害および死亡率の関連

 Khanna AK, Maheshwari K, Mao G, et al. Association Between Mean Arterial Pressure and Acute Kidney Injury and a Composite of Myocardial Injury and Mortality in Postoperative Critically Ill Patients: A Retrospective Cohort Analysis. Critical care medicine 2019;47:910-7.

米国cleveland clinicのdataを用いたretrospective studyで、surgical ICU患者約2700症例を対象として、ICU在室中の血圧と臓器障害の関連を検証しています。主要評価項目として心筋障害および死亡、二次評価項目はAKIが用いられています。ICU在室中の平均血圧の中央値は87mmHgで、心筋障害および死亡およびAKIの発生頻度はそれぞれは3.6%、15%と報告されています。ICU在室中の平均血圧低下は心筋障害および死亡およびAKIのリスクを有意に増加させることが示されています。また、特記すべき点として術中低血圧と術後低血圧には相関が認められている点が挙げられます。


2019年8月13日 (火)

BISガイドのclosed loop全身麻酔におけるdexmedetomidine追加がpropofol必要量に及ぼす影響

 Dutta A, Sethi N, Sood J, et al. The Effect of Dexmedetomidine on Propofol Requirements During Anesthesia Administered by Bispectral Index-Guided Closed-Loop Anesthesia Delivery System: A Randomized Controlled Study. Anesthesia and analgesia 2019;129:84-91.

インドの研究者が行ったRCTで、BISガイドclosed loop TIVAを施行する際にdexmedetomidine追加がpropofol投与量および血行動態に及ぼす影響を比較しています。dexmedetomidineは導入前に初期投与を行った上で0.5µg/kg/hrで投与されています。ASA PS 1または2の患者67症例を対象として解析した結果、dexmedetomidine追加によってpropofol総投与量が15%、維持期のpropofol投与量が30%減少することが示されています。またMDPEという指標でBISの目標値からの逸脱を比較したところdexmedetomidine併用群でbiasが1%と精度が向上することが示されています。血行動態に関しては徐脈、低血圧の頻度が増加することが示されています。本研究のmeaningとしてdexmedetomidineはadjuvant麻酔作用が有ると述べられています。

 

2019年8月 1日 (木)

自発呼吸テスト、せん妄モニタリングおよび早期離床の段階的な適用による予後改善および経済的効果

 Hsieh SJ, Otusanya O, Gershengorn HB, et al. Staged Implementation of Awakening and Breathing, Coordination, Delirium Monitoring and Management, and Early Mobilization Bundle Improves Patient Outcomes and Reduces Hospital Costs. Critical care medicine 2019;47:885-93.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、ICUにおけるABCDE bundleの適用が予後および医療経費に及ぼす影響を検討しています。段階的な適用に関してはbreathingのみ、breathingに加えてawakening+deliriumモニタリング、これらに加えてearly mobilization+coordinationの3段階とし、経時的変化およびbreathingに加えてawakening+deliriumモニタリングのみのICUとすべてを適用したICUで比較しています。結果としてすべてを適用したICUでは褥瘡と抑制具の使用頻度が有意に低下し、人工呼吸期間、入院期間および医療経費が有意に減少したことが示されています。結論として段階的にearly mobilization+coordinationを導入することは有用と述べられています。


 

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  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後に筋弛緩に関するシンポジウムが予定されています。多数のご参加をお待ちしております。
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    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
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    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
  • 病院移転
    管理人の勤務先の新病院への移転が6/16に行われ、無事終了いたしました。
  • 集中治療医学会@幕張
    2/22(木)の午後のCTG委員会企画のシンポジウムに多数ご参加頂きありがとうございます。
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