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2019年9月

2019年9月30日 (月)

せん妄発生リスクの高い重症患者に対する予防的ハロペリドール投与の効果

Rood PJT, Zegers M, Slooter AJC, et al. Prophylactic Haloperidol Effects on Long-term Quality of Life in Critically Ill Patients at High Risk for Delirium: Results of the REDUCE Study. Anesthesiology 2019;131:328-35.

2018年にJAMAに掲載されたREDECE trialの2次解析で、せん妄リスクの高いICU患者に対するhaloperidol予防投与の効果を検証したdataをもちいて1ヶ月後、6ヶ月後のmentalおよびphysical statusを検討しています。haloperidol群181症例、placebo群127症例で検討した結果、経時的変化には有意差が認められましたが、群間すなわちhaloperidolの有無に関する有意差は認められず、haloperidol予防投与は長期の予後を改善しない登結論されています。長期予後を増悪させる因子として、高齢、内科的疾患によるICU入室、ICU入室期間中の深鎮静が挙げられています。

 

2019年9月27日 (金)

大腸がん手術患者におけるERAS適応と術後合併症との関連

Ripolles-Melchor J, Ramirez-Rodriguez JM, Casans-Frances R, et al. Association Between Use of Enhanced Recovery After Surgery Protocol and Postoperative Complications in Colorectal Surgery: The Postoperative Outcomes Within Enhanced Recovery After Surgery Protocol (POWER) Study. JAMA surgery 2019.

スペインの研究者がまとめたprospective, observational studyで、ERASの各項目の遵守と術後30日までの中程度〜重症の合併症発生率の関連を評価した報告です。スペインの80施設で2ヶ月間に行われた大腸がん手術患者約2000症例が対象であり、ERASの準拠率は63.6%であったと述べられています。ERASを積極的に取り入れているとする施設での中程度〜重症の合併症発生率が25%であったのに対して積極的相ない施設で30%で有意差が認められています。特に術後24時間以内の経口摂取再開、術後離床が合併症軽減との関連が大きいことが示されています。

 

2019年9月26日 (木)

持続的筋弛緩をうけた患者における早期経腸栄養

 Ohbe H, Jo T, Matsui H, Fushimi K, Yasunaga H. Early Enteral Nutrition in Patients Undergoing Sustained Neuromuscular Blockade: A Propensity-Matched Analysis Using a Nationwide Inpatient Database. Critical care medicine 2019;47:1072-80.

日本のDPC dataを用いたretrospective studyで、持続的に筋弛緩薬の投与をうけた重症患者における経腸栄養の開始時期が予後に及ぼす影響を解析しています。2010年から20016年の間のDPC dataからrocuroniumあるいはvecuroniumを2日以上相当量投与された約1200症例を対象として傾向スコアマッチングを用いて早期経腸栄養開始群と開始遅延群に分けて解析しています。対象患者の約16%が筋弛緩薬投与から2日以内に経腸栄養を開始した早期経腸栄養開始群であり、院内死亡率、入院期間は有意に早期経腸栄養開始群で良好、肺炎の発生率には差が無いことが示されています。

 

2019年9月24日 (火)

大腸がん手術患者における術前換気効率低下は予後不良と関連する

Wilson RJT, Yates DRA, Walkington JP, Davies SJ. Ventilatory inefficiency adversely affects outcomes and longer-term survival after planned colorectal cancer surgery. British journal of anaesthesia 2019;123:238-45.

英国の研究者がまとめたretrospective studyで、術前の心肺機能、とくに分時間気量/二酸化炭素産生量plotの傾きで表される換気効率と90日死亡率の関連を検討した報告です。

2004年から2015年までに大腸がん手術をうけた患者約1300症例を対象として検討した結果、分時間気量/二酸化炭素産生量plotの傾きが増加し、換気効率が低下していた症例が17.8%でした。全体での90日死亡率は3%ですが、分時間気量/二酸化炭素産生量plotの傾きが増加していた症例では8.2%で、80歳以上などと同様に有意なリスク因子であることが示されています。分時間気量/二酸化炭素産生量plotの傾きが増加していた症例の約60%では心不全の症状が記録されておらず、術前心肺機能検査の意義を示した結果である、と考察されています。





 

2019年9月19日 (木)

重症患者における問題飲酒と急性腎傷害の関連

Gacouin A, Lesouhaitier M, Frerou A, et al. At-Risk Drinking Is Independently Associated With Acute Kidney Injury in Critically Ill Patients. Critical care medicine 2019;47:1041-9.

フランスの研究者が行ったprospective, observational studyで、ICUで3日以上治療を受けた患者を対象として、問題飲酒とICUでのstage 2以上のAKIの発症の関連を検証した報告です。2015年から2018年の間にmedical ICUで3日以上治療を受けた約1100症例を対象として検討した結果、29%が問題飲酒に該当しています。問題飲酒はICU入室時のAKI、ICU入室後のAKI発症いずれについても有意なリスク因子であることが示されています。

 

 

2019年9月17日 (火)

肝細胞がん手術患者におけるTIVAとdesfluraneによる生存率の差

Lai HC, Lee MS, Lin C, et al. Propofol-based total intravenous anaesthesia is associated with better survival than desflurane anaesthesia in hepatectomy for hepatocellular carcinoma: a retrospective cohort study. British journal of anaesthesia 2019;123:151-60.

台湾の研究者が行ったretrospective studyで、肝細胞がんに対する肝切除の際の麻酔薬と長期予後の関連を解析しています。2005年から2014年の間のTIVA群約450症例ととdesflurane群約500症例で比較しています。結果としてdesflurane群の死亡率が約75%であるのに対して、TIVA群では30%程度であり、有意差を持ってTIVA群の予後が良好であることが示されています。

 

2019年9月13日 (金)

高齢手術患者におけるdexmedetomidine投与が長期予後に及ぼす影響

 Zhang DF, Su X, Meng ZT, et al. Impact of Dexmedetomidine on Long-term Outcomes After Noncardiac Surgery in Elderly: 3-Year Follow-up of a Randomized Controlled Trial. Annals of surgery 2019;270:356-63.

2016年にLancetに掲載されたRCTの2次解析で、非心臓手術術後の低用量のdexmedetomidineが長期生存率、QOLに及ぼす影響を解析しています。既報で対象となった非心臓手術患者700症例のうち、3年後までのfollow upが可能であった約450症例を対象として解析しており、症例の約80%が悪性腫瘍に対する手術でした。全症例に関しては1年、2年後までの生存率の改善およびQOLの改善が認められています。非悪性腫瘍手術に関しては1年、2年後および3年後までの生存率の改善が認められています。

 

2019年9月12日 (木)

高血圧を合併した敗血症患者におけるノルアドレナリンによる昇圧が微小循環に及ぼす影響

Fiorese Coimbra KT, de Freitas FGR, Bafi AT, et al. Effect of Increasing Blood Pressure With Noradrenaline on the Microcirculation of Patients With Septic Shock and Previous Arterial Hypertension. Critical care medicine 2019;47:1033-40.

ブラジルの2施設で行われたRCTで、敗血症患者におけるnorepinephrineによる昇圧が末梢循環に及ぼす影響を高血圧の既往の有無によって比較しています。初期治療が終了した敗血症患者のうち、年齢のmatchした高血圧の既往のある患者20症例と既往の無い20症例で比較しています。初期治療中はMAP 65~70mmHgを対象とし、baseline data収集ののち、norepinephrine投与によってMAP 85-90mmHgまで増加させています。評価指標としては生体顕微鏡を用いた舌下組織の血流が用いられています。結果として高血圧既往の有無にかかわらずMAP上昇によって微小循環が改善し、lactateが低下することが示されています。考察では通常のMAP目標を用いた循環管理でlactateの改善が認められない場合は、高血圧の有無にかかわらずMAP目標値を上げる事が有効であると述べられています。

 

2019年9月10日 (火)

心臓外科手術術前のフレイルと術後のせん妄、認知機能低下との関連

Nomura Y, Nakano M, Bush B, Tian J, Yamaguchi A, Walston J, Hasan R, Zehr K, Mandal K, LaFlam A, Neufeld KJ, Kamath V, Hogue CW, Brown CHt: Observational Study Examining the Association of Baseline Frailty and Postcardiac Surgery Delirium and Cognitive Change. Anesth Analg 2019; 129: 507-514

米国で行われた2つのRCTのデータを用いたobservational studyで、心臓外科手術患者における術前フレイルと手術直後のせん妄、術後1ヶ月、12ヶ月の認知機能低下との関連を解析しています。開心術をうける133症例を解析対象とし、術前の状態をno frail、prefrail、frailに分類して解析しています。術前no frail 15例、prefrail 74例、frail 44例でprefrail、frail群では手術直後のせん妄発生リスクが6倍になることが示されています。一方、12ヶ月後の認知機能とfrailの有無には関連が認められませんでした。

 

2019年9月 9日 (月)

重症患者におけるICU入室前のstatin服用が90日死亡率に及ぼす影響

Kyu Oh T, Song IA, Lee JH, et al. Preadmission Statin Use and 90-day Mortality in the Critically Ill: A Retrospective Association Study. Anesthesiology 2019;131:315-27.

韓国の研究者が行ったretrospective studyで、ICU患者における90日死亡率とICU入室前のstatin服用の関連を検討しています。2012年から2017年の間に単一施設のICUで治療を受けた成人患者約2万5千症例を対象として解析した結果、statin服用によって90日死亡リスクが約30%減少することが示されています。また、死亡に至る病態としてcardiovascularではなく、non-cardiovascularな病態に対して軽減作用が強いこと、外科患者では差が見られませんが、内科患者では有意な効果が認められる点が特徴となっています。

 

2019年9月 6日 (金)

開腹肝切除術患者におけるivPCAと胸部硬膜外ブロックの比較

Hausken J, Fretland AA, Edwin B, et al. Intravenous Patient-controlled Analgesia Versus Thoracic Epidural Analgesia After Open Liver Surgery: A Prospective, Randomized, Controlled, Noninferiority Trial. Annals of surgery 2019;270:193-9.

ノルウェーの研究者が行ったRCTで、転移性肝腫瘍切除術患者を対象としてivPCAと胸部硬膜外ブロックの術後鎮痛効果を比較した報告です。腫瘍評価項目としては術後5日目までのpain scoreが用いられています。またivPCA群の特徴として手術終了時の創部浸潤麻酔とNSAIDsの先制的使用が行われています。結果としてivPCA群と胸部硬膜外ブロック群のpain scoreには差が無く、ivPCAは硬膜外ブロックに対して非劣勢であったと結論されています。またivPCA群では経時的にpain scoreが減少したのに対して、硬膜外群では持続注入終了時にpain scoreのリバウンドが認められています。



 

2019年9月 5日 (木)

熱型による新しい敗血症の分類

Bhavani SV, Carey KA, Gilbert ER, Afshar M, Verhoef PA, Churpek MM. Identifying Novel Sepsis Subphenotypes Using Temperature Trajectories. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:327-35.

米国の研究者が行ったretrospective studyで、敗血症患者を熱型で分類することが出来るかどうかを解析した報告です。ERを受診した感染症患者を対象として受診から72時間までの1時間毎の熱型の変化を解析し、複数のグループに分類することを試みています。development groupとして約1万2千症例を対象として検討した結果、早期に改善する発熱群、遷延する発熱群、平熱群、低体温群の4群に分けられることが明らかになりました。死亡率に関しては早期に改善する発熱群が最も良好で、低体温群が最も不良であることが示されています。



 

2019年9月 3日 (火)

ロクロニウム投与前のマスク換気に関するRCT

Min SH, Im H, Kim BR, Yoon S, Bahk JH, Seo JH. Randomized Trial Comparing Early and Late Administration of Rocuronium Before and After Checking Mask Ventilation in Patients With Normal Airways. Anesthesia and analgesia 2019;129:380-6.

韓国の研究者が行ったRCTで、麻酔導入時にロクロニウム0.6mg/kgをマスク換気可能かどうかを確認した上で投与するか、あるいは 意識消失と同時に投与するかを比較した研究です。気道確保困難症を疑う因子の無い114症例を対象とし、マスク換気を麻酔器のPCV modeで行い、換気量を比較しています。結果として意識消失と同時にロクロニウムを投与し、筋弛緩が効いた状態でマスク換気を行うことで換気量が有意に増加することが示されています。また当然ですが、早期投与によってロクロニウム投与から気管挿管までの時間も短縮することも示されています。

 

2019年9月 2日 (月)

超音波による胸部外科手術後の横隔膜機能不全の診断

Spadaro S, Grasso S, Dres M, et al. Point of Care Ultrasound to Identify Diaphragmatic Dysfunction after Thoracic Surgery. Anesthesiology 2019;131:266-78.

イタリアの研究者がまとめたprospective, observational studyで、開胸、胸腔鏡で肺悪性腫瘍手術をうけた75症例を対象として、術後横隔膜機能不全と術後合併症の関連を検討しています。術後横隔膜機能不全は超音波で横隔膜domeの移動距離10mm以下と定義されています。対象患者の68%で横隔膜機能不全が認められ、開胸手術、喫煙が有意なリスク因子であることが示されています。術後合併症のリスク因子としては横隔膜機能不全、COPD、開胸手術、長時間手術が抽出されています。

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近況報告

  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後に筋弛緩に関するシンポジウムが予定されています。多数のご参加をお待ちしております。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
  • 病院移転
    管理人の勤務先の新病院への移転が6/16に行われ、無事終了いたしました。
  • 集中治療医学会@幕張
    2/22(木)の午後のCTG委員会企画のシンポジウムに多数ご参加頂きありがとうございます。
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