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2019年10月

2019年10月31日 (木)

ARDS患者では補助呼吸中の駆動圧が予後に関連する

Bellani G, Grassi A, Sosio S, et al. Driving Pressure Is Associated with Outcome during Assisted Ventilation in Acute Respiratory Distress Syndrome. Anesthesiology 2019;131:594-604.

木曜日は集中治療関連の論文紹介で、本日はAnesthesiologyに掲載となった論文です。イタリアの研究者がまとめたretrospective studyで、ARDS患者における駆動圧と予後の関連を補助呼吸下で解析しています。ARDS患者15、4症例をたいしょうとして対象として調節呼吸から補助呼吸に変更となった後3日間の駆動圧を測定しています。補助呼吸下での駆動圧測定は吸気holdを2秒間施行して測定すると記載されています。対象患者の死亡率は22%で、駆動圧は死亡の独立したリスク因子であることが示されています。

 

2019年10月29日 (火)

高齢者では年齢補正MACより高濃度の揮発性麻酔薬が投与されている

 Ni K, Cooter M, Gupta DK, et al. Paradox of age: older patients receive higher age-adjusted minimum alveolar concentration fractions of volatile anaesthetics yet display higher bispectral index values. British journal of anaesthesia 2019;123:288-97.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、実臨床における呼気終末揮発性麻酔薬濃度とmeta regressionで求めた年齢補正MACの関係を検討した報告です。30歳以上の全身麻酔患者約7000症例を対象として解析し、同時に年齢別のBIS値も解析しています。meta regressionでは10歳年齢が上がると約6.5%ずつMACが低下しますが、実臨床で投与されている揮発性麻酔薬濃度は10歳年齢が上がる毎に3%づつ低下し、結果として高齢者では相対的に高濃度の揮発性麻酔薬に暴露されていることが明らかになりました。BIS値も高齢者では逆説的に高値をとることが示されています。結語では、高齢者では年齢補正MACに基づいた慎重な揮発性麻酔薬濃度の調整が望まれると記載されています。

 

2019年10月28日 (月)

術後せん妄はADLの低下と関連する

Shi Z, Mei X, Li C, et al. Postoperative Delirium Is Associated with Long-term Decline in Activities of Daily Living. Anesthesiology 2019;131:492-500.

中国の研究者がまとめたprospective, observational studyで、65歳以上、全身麻酔下に整形外科手術をうける130症例を対象として、術後4日までの術後せん妄と術後24から36ヶ月後のADL、死亡率の関連を解析しています。対象患者の26%で術後せん妄が認められており、術後せん妄を生じた症例では術後ADLが有意に低下すると共に、36ヶ月死亡率が有意に高いことが示されています。結語では、高齢手術患者では術後せん妄を予防する意義が高いと述べられています。

 

2019年10月25日 (金)

高齢心臓手術患者における体外循環中の血圧維持が術後せん妄の及ぼす影響

Brown CHt, Neufeld KJ, Tian J, et al. Effect of Targeting Mean Arterial Pressure During Cardiopulmonary Bypass by Monitoring Cerebral Autoregulation on Postsurgical Delirium Among Older Patients: A Nested Randomized Clinical Trial. JAMA surgery 2019.

米国の研究者が行ったRCTで、55歳以上のCABG患者を対象として、体外循環中の血圧が術後のせん妄に及ぼす影響を比較しています。対照群では体外循環中の平均血圧を60mmHg以上、介入群では体外循環前に規定した脳血流の自動調節能下限以上を維持することを目標としています。脳血流の自動調節能下限は経頭蓋Dopplerと血圧の相関係数から算出しており、その平均値は67mmHgであったと記載されています。約200症例をランダム化して比較した結果、対照群、介入群でのせん妄発生率はそれぞれ53%、38%であり、脳血流の自動調節能下限を維持することで有意にせん妄発生リスクを減少させることが示された結果となっています。



 

2019年10月24日 (木)

腎代替療法施行中の重症患者における体液過剰と腎臓関連のイベントの関連

Woodward CW, Lambert J, Ortiz-Soriano V, et al. Fluid Overload Associates With Major Adverse Kidney Events in Critically Ill Patients With Acute Kidney Injury Requiring Continuous Renal Replacement Therapy. Critical care medicine 2019;47:e753-e60.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、持続的腎代替療法を施行した重症患者約480症例を対象として、体液過剰(FO)と腎臓関連イベント(major adverse kidney event, MAKE)の関連を検討しています。FOは水分バランスを入室時の体重で除した数値を用いています。FOが10%未満、10%以上で解析した結果、FO>10%がMAKEおよび院内死亡率の有意なリスク因子であることが示されています。また、利尿薬の使用がMAKEのリスクを有意に低下させることが示されています。結語ではroutineにFOを計算することを推奨すると述べられています。

 

2019年10月17日 (木)

早期離床プログラムがもたらす臨床的、経済的効果

Liu K, Ogura T, Takahashi K, et al. A Progressive Early Mobilization Program Is Significantly Associated With Clinical and Economic Improvement: A Single-Center Quality Comparison Study. Critical care medicine 2019;47:e744-e52.

日本の研究者が行ったbefore-after studyで、ICUにおける段階的早期離床プログラムが死亡率および医療費に及ぼす影響を解析しています。プログラム適用前後、それぞれ約200症例を対象として解析した結果、死亡率が24%から11%に減少し、多変量解析の結果、ハザード比が0.25であることが示されています。またプログラム適用前は経時的にコストが増加する傾向があったのに対して、プログラム適用後は経時的にコストが低下することが示されています。

 

2019年10月15日 (火)

脊椎手術における血管収縮薬投与とAKI発生との関連

Farag E, Makarova N, Argalious M, et al. Vasopressor Infusion During Prone Spine Surgery and Acute Renal Injury: A Retrospective Cohort Analysis. Anesthesia and analgesia 2019;129:896-904.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、脊椎手術における昇圧薬投与が術後腎機能に及ぼす影響を検討しています。解析対象約1800症例の38%で昇圧薬の持続投与が行われており、98%でphenylephrineが用いられています。傾向スコアマッチングで抽出した540症例ずつを比較した結果、両群で腎機能には差が認められず、昇圧薬投与がAKI発生のリスクには該当しないことが示されています。結語では昇圧薬投与を回避するために低血圧を許容するのはpoor strategyと述べられています。

 

2019年10月11日 (金)

大腸直腸がん患者におけるプレハビリテーションが予後に及ぼす影響

Trepanier M, Minnella EM, Paradis T, et al. Improved Disease-free Survival After Prehabilitation for Colorectal Cancer Surgery. Annals of surgery 2019;270:493-501.

カナダの研究者が過去に施行した3編のRCT、observational studyのdataを用いて行った2次解析で、術前の運動、栄養および鬱状態に対するコンサルトからなるprehabilitationが長期予後に及ぼす影響を解析しています。202症例を対象として解析した結果、prehabilitationは5年生存率の改善とは関連しないことが示されています。一方でstage III患者に限定するとprehabilitation施行によって5年間の無再発生存率が有意に改善することが示されています。また、多変量解析の結果でもprehabilitation施行によって5年間の無再発生存率が改善することが示されています。

 

2019年10月10日 (木)

ARDS患者におけるAKIが治療および予後に及ぼす影響

McNicholas BA, Rezoagli E, Pham T, et al. Impact of Early Acute Kidney Injury on Management and Outcome in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Secondary Analysis of a Multicenter Observational Study. Critical care medicine 2019;47:1216-25.

2016年にJAMAに掲載されたLUNG-SAFE studyの2次解析で、ARDS患者でAKIの有無によって人工呼吸期間、入院期間および死亡率に差があるかどうかを検討しています。AKIに関してはmild~moderate AKIとsevere AKIに分けて解析しています。約2000症例を対象として解析した結果、mild~moderate AKIが24%、severe AKIが15%で発生しています。mild~moderate AKI、severe AKIいずれも人工呼吸期間延長、入院期間延長、死亡率増加の独立したリスク因子であることが示されています。血清Cr濃度で5段階に分けて解析した結果、sCr>110µmol/l以上で90日死亡リスクが有意に上昇していることが示されています。







 

2019年10月 8日 (火)

血液製剤投与を受けた非心臓手術患者の術後Hb濃度と予後の関連

Will ND, Kor DJ, Frank RD, et al. Initial Postoperative Hemoglobin Values and Clinical Outcomes in Transfused Patients Undergoing Noncardiac Surgery. Anesthesia and analgesia 2019;129:819-29.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、輸血をうけた患者の予後を解析するに際して、輸血開始時のHb濃度ではなく、手術終了時のHb濃度を用いているのが特徴です。Mayo Clinicで非心臓手術中に輸血を施行した約8000症例を対象として、28日までのhospital free daysをprimary outcomeとして解析しています。手術中の最低Hb濃度、術直後のHb濃度の平均値はそれぞれ8.1g/dl、9.9g/dlで、Hb 9.5-10.4g/dlを基準として解析した結果、Hb<7.5g/dlおよびHb>11.5g/dlで28日までのhospital free daysが増加し、予後が不良となることが示されています。低Hb群ではAKIおよび脳梗塞、高Hb群では人工呼吸期間延長のriskが増加しています。

 

2019年10月 7日 (月)

術後せん妄と術後認知機能低下の関連

Daiello LA, Racine AM, Yun Gou R, et al. Postoperative Delirium and Postoperative Cognitive Dysfunction: Overlap and Divergence. Anesthesiology 2019;131:477-91.

米国の研究者が行ったprospective study (SAGE study)のdataを用いて行った2次解析で、術後せん妄と術後認知機能低下の関連を検証しています。整形外科、血管外科および大腸手術をうけた平均77歳の患者560症例を対象として術後1, 2, 6ヶ月後の認知機能の評価を行い、-2SD以上の低下を術後認知機能低下と定義しています。術後せん妄の発生率は24%、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後の認知機能低下の発生率は47%, 23%,16%で経時的に低下しています。両者の相関は術後1ヶ月後では有意差が認められていますが、2ヶ月以降は有意な相関は認められませんでした。結語では術後せん妄と術後認知機能低下は別の病態かもしれないと述べられています。

 

2019年10月 4日 (金)

非心臓手術における非顕性脳梗塞

Perioperative covert stroke in patients undergoing non-cardiac surgery (NeuroVISION): a prospective cohort study. Lancet (London, England) 2019;394:1022-9.

北米、欧州など12施設で行われたprospective, observational studyで、術後の非顕性脳梗塞の頻度、1年後の認知機能低下との関連を検討しています。対象は65歳以上の非心臓手術患者約1100症例で非顕性脳梗塞の診断は術後にMRIを行うことによって行っています。本研究の結果、対象患者の7%で非顕性脳梗塞が発生していることが明らかになりました。非顕性脳梗塞を生じなかった患者の29%で1年後に認知機能低下が認められたのに対して、非顕性脳梗塞患者では42%で1年後の認知機能が低下していることが示されています。また非顕性脳梗塞患者では術後のせん妄の発生率が高いことも示されています。

 

2019年10月 3日 (木)

敗血症における高乳酸血症の解析

Gattinoni L, Vasques F, Camporota L, et al. Understanding Lactatemia in Human Sepsis. Potential Impact for Early Management. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:582-9.

2014年にN Engl J Medに掲載されたALBIOS studyの2次解析で、敗血症患者におけるScvO2、lactate、代謝性acidosisの関連を検討しています。約1700症例を対象として検討した結果、ScvO2<70%の症例は35%であり、ScvO2と死亡率、臓器障害の関係はU字型の曲線となることが再確認されています。また、lactate増加とacidemiaの関連を解析した結果、腎機能正常患者では腎臓の代償によってacidemiaが生じないのに対して、腎機能が低下している患者ではacidemiaが生じることが明らかになっています。

 

2019年10月 1日 (火)

術後ICU入室が術後入院期間と医療費に及ぼす影響

Thevathasan T, Copeland CC, Long DR, et al. The Impact of Postoperative Intensive Care Unit Admission on Postoperative Hospital Length of Stay and Costs: A Prespecified Propensity-Matched Cohort Study. Anesthesia and analgesia 2019;129:753-61.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、外科手術後のICU入室と術後入院期間、医療費の関連を重症度別に解析しています。MGHで外科手術をうけた約6万5千症例のうち7.8%が術後ICUに入室しています。傾向スコアマッチングでICU入室患者と非入室患者それぞれ3530症例を抽出し、重症度別に3分割して解析しています。軽症に分類された群ではICU入室によって入院期間が延長するとともに医療経費が増加しています。一方、重症群ではICU入室によって入院期間が短縮するとともに医療経費が減少しています。特に重症例で当初病棟で術後管理を行い、ICU入室となった場合がもっとも入院期間、医療費が増加することが示されています。

 

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