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2019年11月

2019年11月29日 (金)

短期間滞在手術をうける患者における心不全と術後死亡率の関連

Lerman BJ, Popat RA, Assimes TL, Heidenreich PA, Wren SM. Association Between Heart Failure and Postoperative Mortality Among Patients Undergoing Ambulatory Noncardiac Surgery. JAMA surgery 2019.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、退役軍人病院での大規模databaseを用いて短期滞在手術患者における心不全既往が90日死亡率、30日合併症発生率に及ぼすリスクを解析しています。大多数が男性で50~80歳の約35万症例を対象として解析した結果、心不全の既往を有する症例が5.5%で、これらの症例では90日死亡率が2%であることが示されています。心不全症例では90日死亡率、30日合併症発生リスクが有意に上昇していることが明らかになりました。短期滞在手術の症例選択に関してガイドラインなどの制定が望ましいと考察されています。

 

2019年11月28日 (木)

ICU患者における積極的体温管理に関するRCT

Young PJ, Bailey MJ, Bass F, et al. Randomised evaluation of active control of temperature versus ordinary temperature management (REACTOR) trial. Intensive care medicine 2019;45:1382-91.

ANZICSが行った多施設RCTで、ICU患者における積極的体温管理が実際に体温低下をもたらすか、予後に影響するかを検証しています。対象は呼吸管理下、深鎮静にあり、体温37.8°C以上の患者178症例で、介入群では36~37°Cを目標として介入が行われています。実際に行われた介入としてはacetoaminophen投与、物理的なcoolingが主体であったと記載されています。積極的な体温管理によって0.5°C程度の体温低下が認められていますが、臨床的な予後には差が認められませんでした。結語では積極的な体温管理の有無にかかわらずICU患者の発熱は短時間のうちに解消すると述べられています。

 

2019年11月26日 (火)

中程度から高リスク手術患者におけるnorepinephrine自動投与の実用性

Joosten A, Alexander B, Duranteau J, et al. Feasibility of closed-loop titration of norepinephrine infusion in patients undergoing moderate- and high-risk surgery. British journal of anaesthesia 2019;123:430-8.

ベルギーの研究者が行ったprospective observational studyで、SVVモニタと自動輸液ポンプを組み合わせたnorepinephrine自動投与システムの動作を実際に臨床例で確認した報告です。血管外科、胸部外科等を含む20症例を対象として目標平均血圧±5mmHgの範囲に調節することが目標となっています。約65時間の解析対象時間の92%で目標血圧が維持できることが示され、結語ではclosed-loopシステムを用いることによって低血圧を回避することが可能であったと述べられています。興味深い点としては解析対象時間の97%でnorepinephrine投与が行われている点が挙げられます。

 

2019年11月25日 (月)

小児の麻酔導入時における複数回喉頭展開と低酸素血症、徐脈の関連

Galvez JA, Acquah S, Ahumada L, et al. Hypoxemia, Bradycardia, and Multiple Laryngoscopy Attempts during Anesthetic Induction in Infants: A Single-center, Retrospective Study. Anesthesiology 2019;131:830-9.

 米国の小児病院のdataを用いて行ったretrospective studyで、12ヶ月以下の乳児の麻酔導入時における複数回の喉頭展開と低酸素血症、徐脈の関連を調査しています。対象患者約1300症例のうち、16%で複数回の喉頭展開が行われています。SpO2<90%は対象症例の35%、1ヶ月未満の症例でHR<100, 1ヶ月から12ヶ月の症例でHR<80の頻度は8.9%、低酸素血症、徐脈両方の発生は3.7%とされています。複数回の喉頭展開は低酸素血症の発生リスクを78%増加させることが示されています。考察の対象とはなっていませんが、神経筋遮断薬の使用頻度が30%以下である点が興味深いと思われます。




 

2019年11月22日 (金)

敗血症性ショック患者におけるselepressinがVentilatorおよび昇圧薬からの離脱に及ぼす影響

Laterre PF, Berry SM, Blemings A, et al. Effect of Selepressin vs Placebo on Ventilator- and Vasopressor-Free Days in Patients With Septic Shock: The SEPSIS-ACT Randomized Clinical Trial. Jama 2019.

本研究の対象であるselepressinはvasopressin V1A受容体の選択的なagonistで、vasopressinよりも副作用が少ないと考えられています。本研究は米国および欧州で行われた多施設RCTで、敗血症患者約850症例を対象としてselepressinのdose findingおよびplaceboとの比較を行う目的で企画されています。主要評価項目は30日までのventilator free daysおよびvasopressor free daysが用いられています。selepressin投与群では投与開始から48時間までのnorepinephrine投与量が減少していますが、その他の評価項目には差が認められず、selepressinの有用性は認められませんでした。

 

2019年11月21日 (木)

悪性腫瘍患者における敗血症初期治療の際の乳酸リンゲル液と4%アルブミンの比較

Park CHL, de Almeida JP, de Oliveira GQ, et al. Lactated Ringer's Versus 4% Albumin on Lactated Ringer's in Early Sepsis Therapy in Cancer Patients: A Pilot Single-Center Randomized Trial. Critical care medicine 2019;47:e798-e805.

ブラジルの研究者が行ったRCTで、敗血症患者の初期蘇生輸液としての4% albuminと乳酸リンゲル液が7日までの予後に及ぼす影響を比較しています。がんセンターに相当する施設での研究であり、担がん患者で発生した敗血症症例が対象となっています。360症例を対象とし、治療開始から6時間までの輸液を区別し、投与量は血行動態の改善を指標として担当医の判断に委ねられています。結果として6時間までの輸液量、7日死亡率、28日死亡率には差が認められず、albuminのメリットは示されませんでした。

 

2019年11月19日 (火)

血管手術におけるRCRIとMICAの検証

Fronczek J, Polok K, Devereaux PJ, et al. External validation of the Revised Cardiac Risk Index and National Surgical Quality Improvement Program Myocardial Infarction and Cardiac Arrest calculator in noncardiac vascular surgery. British journal of anaesthesia 2019;123:421-9.

VISION studyの2次解析で、既存の心事故リスク評価因子であるRCRIとMICA(myocardial infarction and cardiac arrest calculator)の予測精度をVISION studyの対象患者のうち下肢の血行再建、腹部大動脈瘤、CEAをうけた870症例に限定して解析した報告です。RCRIとMICAの確立に際しては心筋梗塞の定義として臨床的診断が用いられていたのに対して、本研究では血漿troponin T濃度上昇が用いられています。結果として血管外科手術症例において血漿troponin T濃度上昇を診断基準として診断した場合の心事故の発生頻度は8.7%であり、RCRI、MICAいずれも心事故の発生リスクを過小評価していることが示されています。





 

2019年11月18日 (月)

訴訟例からみた挿管困難症例のマネージメント

 Joffe AM, Aziz MF, Posner KL, Duggan LV, Mincer SL, Domino KB. Management of Difficult Tracheal Intubation: A Closed Claims Analysis. Anesthesiology 2019;131:818-29.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、ASA closed claim databaseを用いて挿管困難症例のマネージメントが1993年から1998年、2000年から2012年の2つの解析期間でいかなる変化が生じたかを解析しています。挿管困難に由来する訴訟例は前期、後期それぞれ93件、102件とされており、後期ではASA PS 3以上、緊急手術、手術室外での麻酔管理が有意に増加していることが示されています。十分な背景情報が報告されている97症例のうち約2/3は挿管困難に対する判断、処置が適切ではなかったと判断されています。考察では不成功に終わった手技に固執する
(perseveration)傾向が有ると指摘しています。

 

2019年11月15日 (金)

抜管不成功リスクの高い症例における高流量経鼻酸素投与とNPPVの併用の効果

Thille AW, Muller G, Gacouin A, et al. Effect of Postextubation High-Flow Nasal Oxygen With Noninvasive Ventilation vs High-Flow Nasal Oxygen Alone on Reintubation Among Patients at High Risk of Extubation Failure: A Randomized Clinical Trial. Jama 2019.

フランスの20施設で行われた多施設RCTで、呼吸不全患者の抜管後再挿管を回避する手段として非侵襲的人工呼吸と高流量経鼻酸素投与を比較した報告です。本研究の特徴は非侵襲的人工呼吸群で何らかの理由でmask装着が出来ない場合に高流量経鼻酸素投与を行っている点です。65歳以上あるいは何らかの臓器障害を有し、抜管後再挿管リスクが高いと見なされた患者約630症例を対象として、抜管後7日までの再挿管率は非侵襲的人工呼吸で12%、高流量経鼻酸素投与群で18%で、統計学的有意差をもって非侵襲的人工呼吸が再挿管を回避する上で有用であることが示されています。













 

2019年11月14日 (木)

意識障害患者におけるNIRSを用いた脳血流自動調節能評価に基づいた血圧管理

Rivera-Lara L, Geocadin R, Zorrilla-Vaca A, et al. Optimizing Mean Arterial Pressure in Acutely Comatose Patients Using Cerebral Autoregulation Multimodal Monitoring With Near-Infrared Spectroscopy. Critical care medicine 2019;47:1409-15.

米国の研究者がまとめたprospective, observational studyで、くも膜下出血、頭蓋内血腫、脳梗塞などで集中治療を必要とする患者約100症例を対象として入室後12から48時間までの平均血圧と予後の関係を解析した報告で、特にNIRSで評価した脳血流の自動調節能からみた最適平均血圧(MAPopt)からの逸脱に注目して解析が行われています。MAPoptはくも膜下出血、頭蓋内血腫では90mmHg、脳梗塞では103mmHgとされています。対象患者の3ヶ月死亡率は51%で、実際のMAP平均値とMAPoptの相違>10mmHgおよびモニタリング期間中のMAPoptからの逸脱時間80%以上が予後不良の独立したリスク因子であることが示されています。NIRSによる脳血流自動調節能の評価は臨床的に有用であると結論されています。



 

2019年11月12日 (火)

下腿の骨折手術の麻酔方法は術後合併症に影響しない

 Brovman EY, Wallace FC, Weaver MJ, Beutler SS, Urman RD. Anesthesia Type Is Not Associated With Postoperative Complications in the Care of Patients With Lower Extremity Traumatic Fractures. Anesthesia and analgesia 2019;129:1034-42.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、米国外科学会の大規模databaseを用いて、下腿、足関節の骨折観血的整復手術における麻酔方法と30日死亡率、術後合併症の頻度を比較した報告です。2011年から2016年の間の該当患者は約1万8千症例で、神経幹麻酔、伝達麻酔での施行は約9%とされています。対象患者から傾向スコアマッチングを用いて全身麻酔、神経幹麻酔/伝達麻酔約1600症例ずつを抽出し、比較したところ30日死亡率、合併症発生率には有意差が認められませんでした。結語では下肢の骨折手術では患者あるいはproviderのpreferenceで麻酔方法を選択することもあり得ると述べられています。

 

2019年11月11日 (月)

抜管直前のPEEP付加と術後無気肺の関連

Ostberg E, Thorisson A, Enlund M, Zetterstrom H, Hedenstierna G, Edmark L. Positive End-expiratory Pressure and Postoperative Atelectasis: A Randomized Controlled Trial. Anesthesiology 2019;131:809-17.

スウェーデンの研究者が行ったRCTで、全身麻酔終了後抜管時のPEEPが抜管後の無気肺に及ぼす影響を検討しています。ヘルニア手術を主体とする日帰り手術症例30症例を抜管時PEEPの有無で2群に分け、無気肺の程度を抜管前、抜管直後の胸部CTを用いて比較しています。両群とも術中はFiO2 0.35、PEEP 7~9cmH2Oで管理し、抜管時にはFiO2 1.0、上半身挙上としています。結果として両群で抜管後の無気肺の程度に差が認められませんでした。結語ではFiO2 1.0, PEEPを維持したまま抜管することを推奨すると述べています。

 

2019年11月 7日 (木)

新規のNETs定量は重症患者におけるDIC発症を予測しうる

Abrams ST, Morton B, Alhamdi Y, et al. A Novel Assay for Neutrophil Extracellular Trap Formation Independently Predicts Disseminated Intravascular Coagulation and Mortality in Critically Ill Patients. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:869-80.

英国の研究者がまとめたstudyで、白血球から放出されるNETsの新しい定量方法を考案し、重症患者で実際に測定した上で、臨床経過、特にDICとの関連を検討しています。測定方法は患者血漿を白血球に暴露してNETsの放出を半定量的に評価しています。臨床研究としては重症患者341症例で解析した結果、78%の症例で患者血清のNETs放出能が認められています。NETs放出は敗血症の診断、血小板減少、DICの診断、臓器障害、死亡と有意に関連していることが示されています。またIL-8と患者血清のNETs放出能と相関し、抗IL-8抗体投与でNETs放出能が抑制されることから、NETs放出にIL-8が関与していることも示されています。



 

2019年11月 5日 (火)

小児非心臓手術患者におけるリスク評価指標の検証

Valencia E, Staffa SJ, Faraoni D, DiNardo JA, Nasr VG. Prospective External Validation of the Pediatric Risk Assessment Score in Predicting Perioperative Mortality in Children Undergoing Noncardiac Surgery. Anesthesia and analgesia 2019;129:1014-20.

米国の研究者が行ったretrospective studyで、著者らが作成した小児患者の30日死亡率を予測するpediatric risk assessment (PRAm)の精度を検証しています。PRAmはurgent procedure、合併症の有無、集中治療の必要性、月齢12ヶ月未満、悪性腫瘍の有無の5項目からなる比較的簡単なscoring systemです。心臓手術、心カテを除く約1万3千症例を対象として検証しており、30日死亡率は0.21%でした。PRAmによる30日死亡率の予測はAUROCが0.96であり、高い精度で予測しうることが確認されました。PRAm>6で死亡リスクが8倍となることが示されています。一方、PRAm<4では死亡例が無いことが示されています。

 

2019年11月 1日 (金)

敗血症性ARDS患者におけるvitamin C投与が臓器障害と炎症反応に及ぼす影響

Fowler AA, 3rd, Truwit JD, Hite RD, et al. Effect of Vitamin C Infusion on Organ Failure and Biomarkers of Inflammation and Vascular Injury in Patients With Sepsis and Severe Acute Respiratory Failure: The CITRIS-ALI Randomized Clinical Trial. Jama 2019;322:1261-70.

米国で行われた多施設RCTで、敗血症からARDSに進行した重症患者におけるvitamin Cの効果を検証しています。約160症例をrandomizeし、介入群ではvitamin Cを4日間投与しています。主要評価項目は4日目のmodified SOFA score、CRP濃度、トロンボモジュリン濃度が用いられています。結果として主要評価項目には差がありませんでしたが、2次評価項目の28日死亡率、28日VFD、60日hospital free daysはvitamine C投与群で良好な結果となっています。

 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
  • 2020年
    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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