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2019年12月

2019年12月27日 (金)

心停止後の早期VAP予防

 Francois B, Cariou A, Clere-Jehl R, et al. Prevention of Early Ventilator-Associated Pneumonia after Cardiac Arrest. The New England journal of medicine 2019;381:1831-42.

フランスの16施設で行われたRCTで、低体温療法をうける院外心停止患者に対する予防的抗菌薬投与が早期VAPを予防できるかどうかを検討しています。介入群ではamoxicillin, clavranateが2日間投与され、7日までの早期VAPの発生を主要評価項目、すべてのVAP、ICU在室期間、28日死亡率などを2次評価項目として解析しています。194症例を対象として解析した結果、2日間のamoxicillin, clavranate投与によって早期VAP発生率が34%から19%に低下することが示されています。2次評価項目には有意差が認められませんでした。

 

2019年12月26日 (木)

重症患者における気管挿管の際の輸液負荷が血行動態に及ぼす影響

Janz DR, Casey JD, Semler MW, et al. Effect of a fluid bolus on cardiovascular collapse among critically ill adults undergoing tracheal intubation (PrePARE): a randomised controlled trial. The Lancet Respiratory medicine 2019;7:1039-47.

米国の9施設で行われた多施設RCTで、ICU患者での気管挿管の際に輸液負荷を行うことによって血圧低下が予防できるかどうかを検証しています。本研究の対象患者の一部は本年N Engl J Medに掲載されたPreVent trialにもenrollされています。輸液負荷群のprotocolでは導入薬投与から挿管までに500mlの晶質液が負荷される事になっており、挿管2分後までの収縮期圧<65mmHg、昇圧薬投与、24時間以内の心停止、死亡からなるcomposite outcomeが用いられています。約340症例をenrollした段階で行われた中間解析で有意差が認められず、中止となっています。尚、subgroup解析では導入前から陽圧呼吸を行った症例では輸液負荷による血行動態の改善が認められたのに対して、陽圧呼吸が行われていない症例では輸液負荷によって血行動態が悪化していることが示されています。

 

2019年12月24日 (火)

腹部手術後の肺合併症に関するsugammadexとneostigmineの比較

Alday E, Munoz M, Planas A, Mata E, Alvarez C. Effects of neuromuscular block reversal with sugammadex versus neostigmine on postoperative respiratory outcomes after major abdominal surgery: a randomized-controlled trial. Canadian journal of anaesthesia = Journal canadien d'anesthesie 2019;66:1328-37.

スペインの研究者が行ったRCTで、周術期の肺活量低下および肺超音波で評価した無気肺増加が筋弛緩拮抗薬によって影響を受けるかどうかを検証しています。腹部手術をうける患者160症例を対象とし、拮抗はsugammadex 4mg/kg、neostigmine 40µg/kgの固定量が用いられています。結果としてPACU入室時にはsugammadex群で31%、neostigmine群で71%が残存筋弛緩状態であったと報告されています。術後1時間、24時間での肺活量、無気肺には群間差が認められず、拮抗薬による肺機能の差は認められなかったと結論されています。

 

2019年12月23日 (月)

心臓手術中の呼吸管理が術後肺合併症に及ぼす影響

Mathis MR, Duggal NM, Likosky DS, et al. Intraoperative Mechanical Ventilation and Postoperative Pulmonary Complications after Cardiac Surgery. Anesthesiology 2019;131:1046-62.

米国の研究者がまとめたrestrospective studyで、単一施設のdatabaseを用いて心臓手術後の肺合併症のrisk因子を解析しています。肺合併症としては24時間以上の呼吸管理、再挿管、挿管中のPF比<100が用いられています。2006年から2017年までの約3700症例を対象として解析した結果、肺合併症の発生頻度は10.9%であることが示されています。肺保護換気の適応によって有意に肺合併症のリスクが低下することが示されており、特に人工心肺離脱後の駆動圧<16cmH2Oがリスク軽減に貢献していることが明らかになっています。

 

 

2019年12月20日 (金)

拡大手術における麻酔深度と合併症の関連

Short TG, Campbell D, Frampton C, et al. Anaesthetic depth and complications after major surgery: an international, randomised controlled trial. Lancet (London, England) 2019;394:1907-14.

ニュージーランドの研究者が中心となって行った国際的多施設RCTで、60歳以上、ASA PS 3または4の患者において麻酔深度が1年後の予後に及ぼす影響を検討しています。73カ所約6600症例を対象とし、吸入麻酔で維持され、麻酔深度としてはBIS 35とBIS 50を目標とした2群に分けて比較しています。血行動態の影響を回避するため平均血圧に差が生じないprotocolが用いられています。結果として1年後の死亡率、重篤な合併症の発生率などの評価項目において有意差は認められませんでした。結語では今日使用されている吸入麻酔ではかなり広い麻酔深度が許容されうると述べられています。

 

2019年12月19日 (木)

ARDS患者における画像診断としての肺超音波検査とCTの比較

Chiumello D, Umbrello M, Sferrazza Papa GF, et al. Global and Regional Diagnostic Accuracy of Lung Ultrasound Compared to CT in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome. Critical care medicine 2019;47:1599-606.

イタリアの研究者が行ったprospective observational studyで、CTと肺超音波のARDSの診断精度を比較しています。ARDS患者32症例を対象として、胸部CTおよび肺超音波を施行し、放射線科医によるCT評価と集中治療医による肺超音波評価を比較しています。評価には正常所見、肺胞間質症候群、無気肺、胸水の4所見が用いられています。結果として87%で診断が一致し、肺超音波は再現性があり、感度の高い診断方法であると結論されています。

 

2019年12月16日 (月)

帝王切開における低血圧予防および治療の際のphenylephrineとnorepinephrineの単回投与の比較

Sharkey AM, Siddiqui N, Downey K, Ye XY, Guevara J, Carvalho JCA. Comparison of Intermittent Intravenous Boluses of Phenylephrine and Norepinephrine to Prevent and Treat Spinal-Induced Hypotension in Cesarean Deliveries: Randomized Controlled Trial. Anesthesia and analgesia 2019;129:1312-8.

カナダの研究者が行ったRCTで、脊髄くも膜下ブロックで帝王切開を行う際の昇圧薬としてphenylephrineとnorepinephrineの単回投与を比較しています。本報告では特にHR<60の徐脈の発生頻度に注目しています。待機的帝王切開患者112症例を対象としてphenylephrine 100µgとnorepinephrine 6µgを比較した結果、徐脈の発生頻度は前者で38%、後者で12%で有意差が認められました。また複数回の徐脈の発生頻度もnorepinephrine群で有意に少ないことが示されています。結語では帝王切開における低血圧予防および治療に際してはnorepinephrineの方が有用であると述べられています。






 

股関節骨折手術における末梢神経ブロックの有用性

Hamilton GM, Lalu MM, Ramlogan R, et al. A Population-based Comparative Effectiveness Study of Peripheral Nerve Blocks for Hip Fracture Surgery. Anesthesiology 2019;131:1025-35.

カナダオンタリオ州の健康保険databaseを用いたretrospective studyで、股関節の骨折観血的整復手術における末梢神経ブロックが入院期間および医療費に及ぼす影響を解析しています。2011年から2015年に股関節の骨折観血的整復手術をうけた約6万5千症例のうち、約1万症例で神経ブロックが行われています。複数の方法で神経ブロック施行群、非施行群の背景を調整した結果、末梢神経ブロック併用によってほぼ半日程度の「入院期間の短縮および5%の医療費削減が示されています。一方、術後肺炎には影響が認められませんでした。

 

2019年12月13日 (金)

乳がん手術における区域麻酔と全身麻酔が再発率に及ぼす影響

 Sessler DI, Pei L, Huang Y, et al. Recurrence of breast cancer after regional or general anaesthesia: a randomised controlled trial. Lancet (London, England) 2019;394:1807-15.

8カ国13施設で行われたRCTで、乳がん手術後の再発および遷延性術後痛に及ぼす区域麻酔の影響を全身麻酔と比較した報告です。約半数の症例が中国のsiteの症例でした。区域麻酔群では主として傍脊椎ブロックとpropofolが、全身麻酔群ではsevofluraneが用いられています。約2000症例のデータで中間解析した結果、再発率、6ヶ月、12ヶ月後の術後痛などの評価項目に有意差が認められず、結語では、臨床医はいずれの麻酔方法を用いることが出来ると述べられています。

 

2019年12月12日 (木)

敗血症性ショック患者における蘇生輸液の評価

Kuttab HI, Lykins JD, Hughes MD, et al. Evaluation and Predictors of Fluid Resuscitation in Patients With Severe Sepsis and Septic Shock. Critical care medicine 2019;47:1582-90.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、敗血症患者に対する輸液として3時間以内に30ml/kgを投与する初期治療(30by3)が行われたかどうかと予後の関係を検討しています。ERを受診した敗血症患者約1000症例を対象として解析した結果、対象患者の約70%が高齢、心不全、肥満、慢性腎臓病等の体液過剰リスクを有しており、結果として約50%が30by3を達成しています。解析の結果、体液過剰リスクの有無とは関係なく、30by3を達成することが死亡、ICU在室期間、遷延性低血圧などのリスクを有意に減少させることが示されています。



 

2019年12月 6日 (金)

外傷性頭部外傷患者におけるトラネキサム酸投与が予後に及ぼす影響

Effects of tranexamic acid on death, disability, vascular occlusive events and other morbidities in patients with acute traumatic brain injury (CRASH-3): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet (London, England) 2019;394:1713-23.

国際的規模の多施設RCTで、頭部外傷患者における早期トラネキサム酸投与が28日までの頭部外傷関連死に及ぼす影響をplaceboと比較した報告です。研究開始後protocolの修正が行われ、受傷から3時間以内での投与を組み入れ基準とすることになりました。約1万3千症例を対象として解析した結果、全症例を対象とした解析では有意差を認めませんでしたが、中程度から軽症例ではトラネキサム酸投与による有意な予後改善効果が認められています。一方、投与時期別の解析では投与時期による効果の差は認められませんでした。結語では頭部外傷患者における早期トラネキサム酸投与が推奨されると述べられています。

 

2019年12月 5日 (木)

救急部門での人工呼吸患者に対する鎮静の臨床像および予後

Fuller BM, Roberts BW, Mohr NM, et al. The ED-SED Study: A Multicenter, Prospective Cohort Study of Practice Patterns and Clinical Outcomes Associated With Emergency Department SEDation for Mechanically Ventilated Patients. Critical care medicine 2019;47:1539-48.

米国で行われた多施設prospective, observational studyで、救急部門での鎮静の実態および予後との関連を調査しています。救急部門で気管挿管をうけた約320症例を対象として、深鎮静群約170症例、浅鎮静群約150症例に分けて解析しています。EDにおける深鎮静群はICUでも深鎮静の頻度が高く、EDにおける鎮静がICUにもcarry overされる事が示されています。また無鎮痛、benzodiazepine使用頻度が高いなど、variationが著明であることが示されています。予後に関しては深鎮静とacute brain dysfunctionの発生頻度に関連が認められています。

 

2019年12月 3日 (火)

術後患者における20% albuminの容量効果

Hasselgren E, Zdolsek M, Zdolsek JH, et al. Long Intravascular Persistence of 20% Albumin in Postoperative Patients. Anesthesia and analgesia 2019;129:1232-9.

スウェーデンの研究者が行った研究で、20% albuminの血漿増量効果とその持続時間を術後患者15症例および健常volunteer15名で比較した報告です。いずれの群でも20% albumin 3ml/kgを投与し、Hbの希釈で容量効果を評価しています。結果として両群とも13%程度の血漿増量効果が認められ、これは投与量の約2倍に相当しました。この結果から20% albuminは術後患者、健常volunteerいずれにおいても間質液の動員効果が有ると結論されています。また容量効果の持続時間は術後患者群で延長していることが示されています。

 

2019年12月 2日 (月)

携帯型加速度センサーによる活動度評価

Rubin DS, Huisingh-Scheetz M, Hung A, et al. Accuracy of Physical Function Questions to Predict Moderate-Vigorous Physical Activity as Measured by Hip Accelerometry. Anesthesiology 2019;131:992-1003.

米国のNational health and nutritional surveyというdatabaseを用いて術前functional capacityの適切は評価を試みた報告です。4METs以上のfunctional capacityのreferenceとして携帯型加速度センサーで2分以上持続するmoderateからvigorous activityが確認されたことが用いられています。上記のdatabaseのうちRCRIが1項目以上陽性で術前携帯型加速度センサーを1週間装着した症例約500症例を対象として解析した結果、階段10階まで問題なく昇降できると自己申告出来ていることが4METs以上のfunctional capacityを示す指標として適切であることが示されています。



 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
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    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
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    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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