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2020年1月

2020年1月31日 (金)

除細動の適応のない心停止蘇生症例における体温管理

Lascarrou JB, Merdji H, Le Gouge A, et al. Targeted Temperature Management for Cardiac Arrest with Nonshockable Rhythm. The New England journal of medicine 2019;381:2327-37.

フランスの21施設で行われたRCTで、いわゆるnon-shockable rhythmから蘇生した患者における低体温療法が予後に及ぼす影響を正常体温管理と比較した研究です。低体温群では33±0.5°Cを24時間維持し復温、正常体温群では37±0.5°Cを48時間維持することを目標とし、90日後の生存率および神経学的予後を比較しています。581症例を対象として検討した結果、良好な神経学的予後を呈した症例は低体温群で10.2%、正常体温群で5.7%であり、低体温が有意に予後を改善することが示されています。一方、死亡率は両群とも80%以上であり、有意差は認められませんでした。

 

2020年1月30日 (木)

ICU退室時の腎傷害の程度と1年後の予後の関連

Legrand M, Hollinger A, Vieillard-Baron A, et al. One-Year Prognosis of Kidney Injury at Discharge From the ICU: A Multicenter Observational Study. Critical care medicine 2019;47:e953-e61.

フランスのICU 21施設のdatabaseを用いて行ったretrospective studyで、重症患者の退院時の腎機能と1年後の予後の関連を解析した報告です。本研究では腎機能の指標として一般的なsCrとNGAL、cystatin Cなどのbiomarkerを比較している点が特徴で、特に退院時のsCrが発症前のsCrの1.5倍、biomarker正常上限を基準として、KI-discharge, sub-KI, AKD, sub-AKDなどの定義が用いられています。約2000症例のうち、1200症例が生存退院し、1年後までに12.9%が死亡転帰となっています。sCr正常だがbiomarkerが異常を示したsub-KIは25~47%の症例で認められており、1年死亡の独立したリスク因子であることが示されています。

 

2020年1月28日 (火)

目標指向型輸液管理における晶質液と膠質液が組織酸素分圧に及ぼす影響

Reiterer C, Kabon B, Zotti O, Obradovic M, Kurz A, Fleischmann E. Effect of goal-directed crystalloid- versus colloid-based fluid strategy on tissue oxygen tension: a randomised controlled trial. British journal of anaesthesia 2019;123:768-76.

2019年にAnesthesiologyに掲載されたRCTのsubstudyで、outcomeとして手術中からPACU在室中の上腕の皮下組織酸素飽和度、PACU在室中の創部組織酸素飽和度、上腕と指尖の温度差など末梢循環の指標を用いて、晶質液と膠質液を比較しています。ASA PS 2を主体とする80症例をランダム化して比較した結果、両群で上腕皮下組織および創部の酸素飽和度、上腕と指尖の温度差には有意差が認められませんでした。

 

2020年1月27日 (月)

肩関節鏡手術における腕神経叢上神経幹ブロックと斜角筋間ブロックの比較

 Kang R, Jeong JS, Chin KJ, et al. Superior Trunk Block Provides Noninferior Analgesia Compared with Interscalene Brachial Plexus Block in Arthroscopic Shoulder Surgery. Anesthesiology 2019;131:1316-26.

韓国の研究者が行ったRCTで、肩関節鏡手術患者76症例を対象として、腕神経叢上神経幹ブロックと斜角筋間ブロックで鎮痛効果と横隔膜機能に関して比較しています。腕神経叢上神経幹ブロックは典型的な斜角筋間ブロックよりも遠位部位でブロックする手技で、横隔神経への作用が少ないと考えられています。両群とも0.5%ropivacaine 15mlを投与しています。結果として鎮痛作用には差が無く、腕神経叢上神経幹ブロックで有意に横隔膜収縮能が維持されていることが示されています。





 

2020年1月24日 (金)

重症患者における早期高用量vitamin D投与の効果

Ginde AA, Brower RG, Caterino JM, et al. Early High-Dose Vitamin D3 for Critically Ill, Vitamin D-Deficient Patients. The New England journal of medicine 2019;381:2529-40.

米国で行われた多施設RCTで、肺炎、ARDS、敗血症などでICUで治療を受ける患者のうち、血中vitamin D濃度が低い症例を対象として高用量vitamin D投与が90日死亡率に及ぼす影響をplaceboと比較した報告です。研究計画では3000症例を対象とする予定でしたが、約1300症例で中間解析した結果、vitamin Dの効果が認められなかったため、RCTが中止となっています。予想に反して感染症を原因とする重症患者、投与前にARDSを発症した症例で予後が不良であるという結果が得られています。

 

 

2020年1月23日 (木)

敗血症患者における細胞外液輸液と生理食塩水の比較

Brown RM, Wang L, Coston TD, et al. Balanced Crystalloids versus Saline in Sepsis. A Secondary Analysis of the SMART Clinical Trial. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:1487-95.

2018年にN Engl J Medに掲載されたSMART trialの2次解析で、敗血症患者に限定して再解析を行っています。SMART trialはICU患者約1万5千症例を対象として、細胞外液輸液と生理食塩水が予後に及ぼす影響を比較していますが、本報告では敗血症患者約1600症例を対象として、院内死亡率を主要評価項目として比較しています。結果として主解析と同様に細胞外液輸液輸液群で院内死亡のリスクが有意に低下することが示されています。さらに細胞外液輸液ではノルエピネフリン使用量、lactate濃度が減少していることも示されています。





 

2020年1月21日 (火)

非心臓手術患者における迷走神経活動低下と心筋傷害の関連

May SM, Reyes A, Martir G, et al. Acquired loss of cardiac vagal activity is associated with myocardial injury in patients undergoing noncardiac surgery: prospective observational mechanistic cohort study. British journal of anaesthesia 2019;123:758-67.

英国の研究者が行ったprospective studyで、ASA PS 3以上で2時間以上の非心臓手術をうける約190症例を対象として、術後の心筋傷害と周術期の心臓副交感神経機能の関連を検討しています。心臓副交感神経機能の評価としては心拍変動および体位変換に伴う一過性頻脈からの回復が用いられています。結果として対象症例の25%で術後心筋傷害が発生しており、心筋傷害を生じた患者では有意に術後合併症の頻度が上昇することが示されています。心筋傷害群で心臓副交感神経機能が低下していますが、両群とも血圧には差が認められませんでした。結論では心臓副交感神経機能の低下と心筋傷害には関連があると述べられています。





 

2020年1月20日 (月)

Sepsis-3での敗血症診断基準を満たす症例に対するhydrocortisoneとplaceboの比較

Venkatesh B, Finfer S, Cohen J, et al. Hydrocortisone Compared with Placebo in Patients with Septic Shock Satisfying the Sepsis-3 Diagnostic Criteria and APROCCHSS Study Inclusion Criteria: A Post Hoc Analysis of the ADRENAL Trial. Anesthesiology 2019;131:1292-300.

2018年にN Engl J Medに掲載された敗血症患者に対するhydrocortisoneの効果を検証したADRENAL trialの2次解析です。ADRENAL trialではhydrocortisoneによる有意な生存率改善効果が認められませんでしたが、本解析ではsepsis-3基準を満たす患者(ADRENAL-Sepsis3)、および同年にN Engl J Medに掲載されたAPROCCHSSS trialと同じ組み入れ基準を満たす患者(ADRENAL-APROCCHSS)に限定して再解析しています。結果としてより重症例に限定しても生存率改善効果は認められませんでしたが、人工呼吸器からの早期離脱、ICUからの早期退室が可能になることが示されています。


 

2020年1月17日 (金)

院外での迅速気管挿管の際のrocuroniumとsuccinylcholineの比較

Guihard B, Chollet-Xemard C, Lakhnati P, et al. Effect of Rocuronium vs Succinylcholine on Endotracheal Intubation Success Rate Among Patients Undergoing Out-of-Hospital Rapid Sequence Intubation: A Randomized Clinical Trial. Jama 2019;322:2303-12.

フランスで行われたRCTで、いわゆるDoctor carが出動して行った院外での迅速気管挿管の際の神経筋遮断薬としてrocuronium 1.2mg/kgとsuccinylcholine 1mg/kgを比較した報告です。Primary outcomeとしては初回挿管成功率が用いられています。約1200症例を対象として解析した結果、rocuronium群、succinylcholine群での初回挿管成功率はそれぞれ74%、79%で仮説であったrocuroniumのnon-inferiorityは証明できませんでした。一方、挿管後の死亡には有意差がなく、挿管後の血圧低下はsuccinylcholine群で有意に多かったと報告されています。







 

2020年1月16日 (木)

重症患者における高酸素分圧と死亡率の関連

Palmer E, Post B, Klapaukh R, et al. The Association between Supraphysiologic Arterial Oxygen Levels and Mortality in Critically Ill Patients. A Multicenter Observational Cohort Study. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:1373-80.

英国の研究者がまとめたretrospective studyで、ICUに24時間以上滞在した患者約1万9千症例を対象として、入室から7日までのPaO2>100mmHgの動脈血の高酸素分圧とICU死亡率の関連を検討しています。PaO2>100mmHgは入室1日目で約70%、入室7日目までに90%以上の症例で確認されています。PaO2>100mmHgはICU死亡の有意なリスク因子であることが確認されていますが、dose-responseは認められませんでした。

 

2020年1月14日 (火)

一般的な合併症とfrailが非心臓手術後の予後に及ぼす影響

Hui Y, van Walraven C, McIsaac DI. How Do Common Comorbidities Modify the Association of Frailty With Survival After Elective Noncardiac Surgery? A Population-Based Cohort Study. Anesthesia and analgesia 2019;129:1699-706.

カナダの研究者がまとめたretrospective studyで、高齢手術患者における術後死亡率に認知機能低下、心不全、COPD、冠動脈疾患など一般的な合併症とフレイルが影響するかどうかを解析しています。65歳以上で血管外科、関節置換、消化管手術をうけた約20万症例を対象として1年死亡率を解析しています。対象患者の約30%がfrailと診断され、frail患者、非frail患者での1年死亡率はそれぞれ9.7%、2.8%でした。frailと一般的な合併症の間には相加的な関連があり、認知機能低下、心不全、COPDとfrailの合併は死亡率を相加的に上昇されることが示されています。

2020年1月10日 (金)

重症小児患者における赤血球製剤の保存期間が多臓器不全に及ぼす影響

Spinella PC, Tucci M, Fergusson DA, et al. Effect of Fresh vs Standard-issue Red Blood Cell Transfusions on Multiple Organ Dysfunction Syndrome in Critically Ill Pediatric Patients: A Randomized Clinical Trial. Jama 2019;322:2179-90.

北米を中心とした50カ所のPediatric ICUで行われたRCTで、輸血に用いた赤血球製剤の保存期間が予後に及ぼす影響を比較しています。短期間保存期間群では採血後7日以内、対照群では通常の使用法とされており、結果として採血から輸血までの期間は18日とされています。生後3日から16際までの約1300症例を対象として28日までの臓器障害の発生頻度を主要評価項目として解析しています。結果として、保存期間による臓器障害発生リスクには差が認められず、小児重症患者において採血後7日までの短期保存製剤を用いるメリットは示されませんでした。

 

2020年1月 9日 (木)

ARDS患者における最大recruitmentおよびopen lung換気

Hodgson CL, Cooper DJ, Arabi Y, et al. Maximal Recruitment Open Lung Ventilation in Acute Respiratory Distress Syndrome (PHARLAP). A Phase II, Multicenter Randomized Controlled Clinical Trial. American journal of respiratory and critical care medicine 2019;200:1363-72.

オーストラリアの研究者が中心となって行った多施設RCTで、中等症から重症ARDS患者を対象として段階的なPEEP負荷によって最適PEEPを決定するstaircase recruitment maneuverを行う介入群とRMを用いない肺保護換気を行う対照群でVFDを評価項目として比較した研究です。2017年にJAMAにART trialが公表されたことによりtrialの活動度が低下し153症例を組み入れた時点で中止となっています。結果として両群にVFD、死亡率、合併症発生率に差が認められませんでした。subgroup解析ではRMによってcomplianceが改善したsubgroupではstaircase recruitment maneuverによって予後が改善することが示されています。

 

2020年1月 7日 (火)

dexmedetomidine併用による全身麻酔覚醒のquality向上

Aouad MT, Zeeni C, Al Nawwar R, et al. Dexmedetomidine for Improved Quality of Emergence From General Anesthesia: A Dose-Finding Study. Anesthesia and analgesia 2019;129:1504-11.

レバノンの研究者がまとめたRCTで、全身麻酔覚醒時に投与するdexmedetomidineが覚醒時のquality、特に抜管時の咳、shivering、血行動態に及ぼす影響を比較しています。dexmedetomidine投与量として0.25µg/kg、0.5µg/kg、1µg/kgとplaceboを10分で投与し、比較しています。各群54症例ずつで検討した結果、dexmedetomidine 0.5µg/kg以上の投与はplaceboと比較してshivering、血行動態のqualityを向上させることが示されています。一方、咳に関しては1µg/kg投与によって有意な改善が認められています。術後の覚醒、鎮静度には有意差が認められていません。考察では全身麻酔覚醒のqualityを向上させるためには1µg/kg投与が有効と述べられています。





 

2020年1月 6日 (月)

ボランティアにおけるpropofolとsevofluraneの薬力学

Kuizenga MH, Colin PJ, Reyntjens K, et al. Population Pharmacodynamics of Propofol and Sevoflurane in Healthy Volunteers Using a Clinical Score and the Patient State Index: A Crossover Study. Anesthesiology 2019;131:1223-38.

オランダの研究者が行ったvolunteer studyで、2018年にBJAに掲載されたstudyの結果を2次解析し、propofol、sevofluraneとremifentanilの相乗効果およびPSIのversion upに伴う変化を解析しています。結果のpointは以下の通りです。鎮静に関してはpropofol 1.85ng/mlとsevoflurane 0.9%がほぼ相当する点、propofolとremifentanilの間には明確な相乗効果が認められるが、sevofluraneとremifentanilの間の相乗効果は明らかではない点、以前のversionのPSIではsevoflurane濃度増加にともなってparadoxicalなindex上昇が認められたが、version upに伴って直線的な変化となった点、が挙げられます。

 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
  • 2020年
    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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