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2020年5月

2020年5月29日 (金)

股関節、膝関節置換術におけるERAS適用と術後合併症の関連

Ripollés-Melchor J, Abad-Motos A, Díez-Remesal Y, Aseguinolaza-Pagola M, Padin-Barreiro L, Sánchez-Martín R, Logroño-Egea M, Catalá-Bauset JC, García-Orallo S, Bisbe E et al: Association Between Use of Enhanced Recovery After Surgery Protocol and Postoperative Complications in Total Hip and Knee Arthroplasty in the Postoperative Outcomes Within Enhanced Recovery After Surgery Protocol in Elective Total Hip and Knee Arthroplasty Study (POWER2). JAMA surgery 2020, 155(4):e196024.

スペインで行われたprospective, observational studyで、待機的にTKA、THAを受ける患者を対象としてERAS protocol適用と予後の関連を調査しています。解析にはERAS適用有無に関する自己申告で2分した比較と施設毎の適応率が最大であった群と最小群の比較で行っています。いずれの解析方法でもERAS適応によって中程度以上の合併症リスクが減少し、入院期間が短縮することが示されています。

 

2020年5月28日 (木)

黄色ブドウ球菌敗血症患者における抗菌薬投与の遅延は死亡率増加と関連する

Corl KA, Zeba F, Caffrey AR, Hermenau M, Lopes V, Phillips G, Merchant RC, Levy MM, LaPlante KL: Delay in Antibiotic Administration Is Associated With Mortality Among Septic Shock Patients With Staphylococcus aureus Bacteremia. Critical care medicine 2020, 48(4):525-532.

米国の研究者が在郷軍人病院のdataを用いて行ったretrospective studyで、ERからICUに入室し治療を受けた敗血症性ショック患者のうち、MSSAまたはMRSAが起因菌となっている症例において受診から抗菌薬投与までの時間間隔と死亡率の関連を検討しています。ほぼ男性からなる約500症例が対象となっており、MSSA、MRSA約半数ずつ、30日死亡率は78%となっています。受診から抗菌薬投与までの中央値は3時間で、間隔が1時間増加する毎に死亡のオッズ比が11%ずつ、死亡率が1.3%増加することが示されています。考察では黄色ブドウ球菌を疑う場合は速やかに抗菌薬を投与すべきと述べられています。

 

 

2020年5月26日 (火)

人工呼吸患者における動脈血酸素分圧と死亡率の関連

Schjorring OL et al. Arterial oxygen tensions in mechanically ventilated ICU patients and mortality: a retrospective, multicentre, observational cohort study. Br J Anaesth 2020;124:420-9

デンマークの5施設で行われたretrospective studyで、ICUで人工呼吸をうけた患者を対象として人工呼吸期間中の平均PaO2と90日死亡率の関連を調査しています。PaO2については<8kPaをhypoxemia、13.7〜16kPaをmild hyperoxemia、16kPa以上をsevere hyperoxiemaと定義しています。約5000症例、18万回のBGAを対象として解析した結果、90日死亡率は28.1%、hypoxemiaは90日死亡のhazard比6倍、severe hyperoxemiaは90日死亡のharard比1.75倍で、高酸素は90日死亡の独立したリスク因子であることが示されています。最初のBGAでhypoxemiaでありその後にhyperoxemiaとなった症例ではhazard比が上昇することも示されています。

2020年5月25日 (月)

非心臓手術患者におけるaspirin、clonidine投与の長期成績

Sessler DI, Conen D, Leslie K, Yusuf S, Popova E, Graham M, Kurz A, Villar JC, Mrkobrada M, Sigamani A et al: One-year Results of a Factorial Randomized Trial of Aspirin versus Placebo and Clonidine versus Placebo in Patients Having Noncardiac Surgery. Anesthesiology 2020, 132(4):692-701.

2014年にN Engl M Medに掲載されたPOISE-2 trialの2次解析で、1年後の心血管系合併症、術後遷延性疼痛をアウトカムとして解析した報告です。POISE-2 trialでは術後30日までのaspirin、clonidineいずれも有用性は示されていませんが、PCIを受けたsubgroupではaspirinによる心筋梗塞に対する保護作用が認められています。本解析では1年後まで観察してもaspirin、clonidineによる心事故抑制、術後遷延性疼痛抑制作用は認められませんでした。30日までの解析と同様、PCIを受けたsubgroupではaspirinによる心筋梗塞に対する保護作用が認められています。





2020年5月22日 (金)

手術スタッフの予防衣、帽子着用と創部感染の関連

Wills BW, Smith WR, Arguello AM, McGwin G, Ghanem ES, Ponce BA: Association of Surgical Jacket and Bouffant Use With Surgical Site Infection Risk. JAMA surgery 2020, 155(4):323-328.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、手術スタッフの着衣と創部感染の関連を検討した報告です。米国ではscull capではなく、bouffant capを使用し、頭髪、耳をカバーすべきとされているようです。また手洗いをしない手術スタッフは長袖のsurgical jacketを着用することが推奨されているとのことです。該当論文ではそれぞれの写真が掲載されています。研究を行った施設では22ヶ月間で制限なし、bouffant capのみ、bouffant capとsurgical jacketと順に導入しており、経時的なSSI頻度を解析することによって着衣の効果を解析しています。結果としてSSI頻度には経時的な減少傾向が認められず、bouffant cap、surgical jacket着用による予防効果が認められませんでした。



 

2020年5月21日 (木)

出血に由来する重症患者における抗凝固が死亡率および医療資源使用に及ぼす影響

Fernando SM, Mok G, Castellucci LA, Dowlatshahi D, Rochwerg B, McIsaac DI, Carrier M, Wells PS, Bagshaw SM, Fergusson DA et al: Impact of Anticoagulation on Mortality and Resource Utilization Among Critically Ill Patients With Major Bleeding. Critical care medicine 2020, 48(4):515-524.

カナダの研究者がまとめたretrospective studyで、重篤な出血のためにICUで治療を行った患者の死亡率、医療費へのDOACおよびワーファリン服用の影響を解析しています。背景には高齢化によって抗凝固薬の使用頻度が今後増加する事が予想されるためと述べられています。約1600症例が重篤な出血のためにICUで治療をうけ、このうち15%が抗凝固薬を服用していました。原因としては頭蓋内出血、外傷性出血、消化管出血でした。抗凝固薬服用患者では死亡率および入院期間延長のリスクが有意に増加することが示されています。DOACとワーファリンの比較についてはDOAC服用患者で医療費が減少していることが示されています。

 

2020年5月19日 (火)

非心臓手術患者における酸素投与は急性腎傷害、心血管系合併症の誘因とはならない

Ruetzler K, Cohen B, Leung S, Mascha EJ, Knotzer J, Kurz A, Sessler DI, Turan A: Supplemental Intraoperative Oxygen Does Not Promote Acute Kidney Injury or Cardiovascular Complications After Noncardiac Surgery: Subanalysis of an Alternating Intervention Trial. Anesthesia and analgesia 2020, 130(4):933-940.

2018年にBr J Anaesthに掲載されたRCTに準じた臨床試験の2次解析で、術中吸入気酸素濃度と術後AKI、MINSの関連を調査した報告です。術中吸入気酸素濃度の目標値は0.3と0.8であり、実際には0.4と0.8であったと述べられています。術後AKI評価対象約5000症例、術後MINS評価対象約1500症例で解析した結果、術中吸入気酸素濃度と術後AKI、MINSには有意な関連が認められませんでした。吸入器酸素濃度はその他の点を考慮したうえで決定すべきと結論されています。

 

2020年5月18日 (月)

腹腔鏡手術患者における腹腔内圧を指標としたPEEP設定

Mazzinari G, Diaz-Cambronero O, Alonso-Iñigo JM, Garcia-Gregorio N, Ayas-Montero B, Ibañez JL, Serpa Neto A, Ball L, Gama de Abreu M, Pelosi P et al: Intraabdominal Pressure Targeted Positive End-expiratory Pressure during Laparoscopic Surgery: An Open-label, Nonrandomized, Crossover, Clinical Trial. Anesthesiology 2020, 132(4):667-677.

スペインで行われたprospective, observational studyで、腹腔鏡下胆嚢摘出術患者30症例を対象として、3段階の腹腔内圧に対する2段階のPEEPが経肺圧、駆動圧に及ぼす影響を調べています。腹腔内圧は8mmHg、12mmHg、15mmHg、それぞれの条件下でPEEP 5cmH2O固定と腹腔内圧+2cmH2Oとした設定で比較しています。結果として腹腔内圧に応じてPEEPを調節することによって経肺圧、駆動圧が低下することが示されています。結語では腹腔内圧を指標としたPEEP設定によって腹腔内圧が肺に及ぼす影響をcounterbalance出来ると述べられています。





 

 

2020年5月15日 (金)

ICU患者における感染症の頻度と予後

Vincent JL, Sakr Y, Singer M, Martin-Loeches I, Machado FR, Marshall JC, Finfer S, Pelosi P, Brazzi L, Aditianingsih D et al: Prevalence and Outcomes of Infection Among Patients in Intensive Care Units in 2017. Jama 2020, 323(15):1478-1487.

1992年、2007年に行われたEPIC I study、EPIC II studyのfollow upとして行われたEPIC III studyの結果です。全世界約1100施設を対象として行われた横断的研究で2017年9月13日にICUに滞在した約1万5千症例を対象として感染症の有無、その内容を解析しています。結果として54%の症例で確認された感染症あるいは感染症疑いであったことが示されています。内訳は市中感染が44%、医療機関関連感染が35%、ICU由来の感染が22%であることが示されています。起因菌としてESBL Klebsiellaとacinetobactorの頻度が高いことが特徴的です。

 

2020年5月14日 (木)

重症患者におけるリハビリテーションプログラムが運動耐用能、呼吸器系、筋肉系に及ぼす影響

Schujmann DS, Teixeira Gomes T, Lunardi AC, Zoccoler Lamano M, Fragoso A, Pimentel M, Peso CN, Araujo P, Fu C: Impact of a Progressive Mobility Program on the Functional Status, Respiratory, and Muscular Systems of ICU Patients: A Randomized and Controlled Trial. Critical care medicine 2020, 48(4):491-497.

ブラジルのリハビリテーション医学専門医が行ったRCTで、ICU患者に対する早期かつ累進的なリハビリテーション実施がICU退室時の運動耐用能、呼吸機能、筋力に及ぼす影響を通常治療群と比較しています。重症患者99症例を対象とし、通常治療群では午前中1回、介入群では通常治療群での介入に加えて午後にもリハビリテーションを行っています。結果として呼吸機能、筋力に関しては差が認められませんでしたが、介入群ではICU退室時の運動耐用能が有意に改善し、ICU在室期間の短縮も認められています。考察ではリハビリテーション早期開始と高強度かつ累進的なプログラムが重要であると述べられています。

 

2020年5月12日 (火)

非心臓手術患者における術中一回換気量と術後AKIの関連

Argalious MY, Mao G, Davison RK, Chow C, Bhavani S: Association of Intraoperative Tidal Volumes and Acute Kidney Injury After Noncardiac Surgery. Anesthesia and analgesia 2020, 130(4):925-932.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、非心臓手術患者における術中換気量と術後AKI、術後MINSの関連を検討しています。仮説として高一回換気量に伴う心拍出量の減少、静脈圧増加がAKIのリスクを増加させるという機序が想定されています。2時間以上の調節呼吸をうける非心臓手術患者約4万4千症例を対象として解析した結果、一回換気量の平均は予想体重あたり8.8ml/kg、AKI発生率は10.9%、MINS発生率は2.5%とされています。術中一回換気量増加はAKI、MINS発生の独立したリスク因子であることが示されています。一方、術中MAP低下もAKIの独立したリスク因子であることが示されていますが、一回換気量とMAPの間には関連が認められていません。

 

2020年5月11日 (月)

生理食塩水と乳酸リンゲル液の比較(SOLAR trial)

Maheshwari K, Turan A, Makarova N, Ma C, Esa WAS, Ruetzler K, Barsoum S, Kuhel AG, Ritchey MR, Higuera-Rueda C et al: Saline versus Lactated Ringer's Solution: The Saline or Lactated Ringer's (SOLAR) Trial. Anesthesiology 2020, 132(4):614-624.

米国の研究者がまとめたprospective studyで、大腸癌と整形外科手術患者を対象として、乳酸リンゲル液と生理食塩水で術後合併症、術後AKIを比較しています。研究期間を2分し、2週間毎に乳酸リンゲル液と生理食塩水を使用することでほぼRCTと同じ背景因子の調整を行っています。対象患者は各群約4000症例、輸液投与量の中央値は約2000mlとされています。結果として乳酸リンゲル液群、生理食塩水群の術後合併症発生率はそれぞれ5.8%、6.1%で統計学的有意差は認められませんでした。AKIに関しては乳酸リンゲル液群で高い印象がありますが、多重比較による有意差を調整した結果、有意差は消失しています。結語ではいずれの輸液も許容されると述べられています。



 

2020年5月 8日 (金)

外傷後の潜在的低灌流と予後の関連は年齢に依存する

Hatton GE, McNutt MK, Cotton BA, Hudson JA, Wade CE, Kao LS: Age-Dependent Association of Occult Hypoperfusion and Outcomes in Trauma. J Am Coll Surg 2020, 230(4):417-425.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、外傷患者の予後におよぼす年齢と潜在的低灌流(occult hypoperfusion, OH)の関連を調査した報告です。血圧、心拍数の異常を認めるshock群とvital signに異常がなくBE< -2mEq/lを呈する症例をOHと定義しています。約3300症例を55歳で2分し、解析した結果、いずれの年齢層でもshock群、OH群は約30%と25%であることが示されています。55歳未満群ではショック群がOH群よりも予後が不良ですが、55歳以上の患者ではショック群よりもOH群が予後不良であることが示されています。考察では高齢者における生理学的な代償機能の限界あるいは治療に際してtriage不十分が高齢者で多い可能性が述べられています。

 

2020年5月 7日 (木)

ショック患者では指尖部の皮膚血流変化は死亡率と関連する

Mongkolpun W, Orbegozo D, Cordeiro CPR, Franco C, Vincent JL, Creteur J: Alterations in Skin Blood Flow at the Fingertip Are Related to Mortality in Patients With Circulatory Shock. Critical care medicine 2020, 48(4):443-450.

ベルギーの研究者が行ったprospective, observational studyで、ショック患者における指尖部の皮膚血流と予後の関連を調査しています。皮膚血流はLaser Doppler法で測定し、実測値と皮膚温を37°Cまで上昇させた際の変化を検討しています。ショックからの蘇生後患者70症例と健常volunteer 20症例を対象として検討した結果、血行動態が改善したショック患者では実測値と皮膚温を37°Cまで上昇させた際の変化いずれも健常者より低く、予後不良の患者では改善が認められないことが示されています。考察ではショック治療の指標として有用であると述べられています。



 

2020年5月 1日 (金)

大腸癌手術患者における術後合併症に関するプレハビリテーションとリハビリテーションの比較

Carli F, Bousquet-Dion G, Awasthi R, Elsherbini N, Liberman S, Boutros M, Stein B, Charlebois P, Ghitulescu G, Morin N et al: Effect of Multimodal Prehabilitation vs Postoperative Rehabilitation on 30-Day Postoperative Complications for Frail Patients Undergoing Resection of Colorectal Cancer: A Randomized Clinical Trial. JAMA surgery 2020, 155(3):233-242.

カナダの研究者が行ったRCTで、65歳以上、frailに該当する大腸癌手術患者を対象として術後30日までの合併症発生に関して4週間のプレハビリテーションと4週間のリハビリテーションを比較しています。いずれも同じ内容の筋力強化、栄養療法および精神的サポートが行われており、施行時期のみが異なっています。55症例ずつで比較した結果、両群に有意差は認められませんでした。差が認められなかった原因として両群とも早期回復プログラムがすでに適用されており、この影響が結果につながった可能性があると考察されています。

 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
  • 2020年
    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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