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2020年7月

2020年7月31日 (金)

次回更新

次回更新は8/11予定です。

創部感染症の発生率に関するolanexidineとpovidone iodineの比較

Obara H, Takeuchi M, Kawakubo H, Shinoda M, Okabayashi K, Hayashi K et al: Aqueous olanexidine versus aqueous povidone-iodine for surgical skin antisepsis on the incidence of surgical site infections after clean-contaminated surgery: a multicentre, prospective, blinded-endpoint, randomised controlled trial. The Lancet Infectious diseases 2020.

日本の研究者が行った多施設RCTで、外科手術患者における消毒薬としてolanexidineとpovidone iodineを比較した報告です。消化管、肝胆膵手術患者約600症例を対象として、30日以内の創部感染症の頻度を比較しています。結果としてpovidone iodine群でのSSI頻度が13.3%であったのに対して、olanexidine群では7%で、統計学的有意差が認められています。SSIの深度別ではsuperficial infectionを有意に減少させる効果が示されています。subgroup解析ではリスクの少ない群で有意差が大きい傾向が認められています。

 

2020年7月30日 (木)

重症患者における活動性せん妄、非活動性せん妄と認知機能の関連

Hayhurst CJ, Marra A, Han JH, Patel MB, Brummel NE, Thompson JL et al: Association of Hypoactive and Hyperactive Delirium With Cognitive Function After Critical Illness. Critical care medicine 2020, 48:e480-e8.

2013年にN Engl J Medに掲載されたBRAIN-ICU studyと2014年にLancet Respir Medに掲載されたMIND-ICU studyのdataを用いて行った2次解析でせん妄の表現型と3ヶ月後12ヶ月後の全体的な認知機能、executive functionの関連を調査しています。約500症例が解析対象で、ICU入室中のせん妄の表現型は低活動型せん妄、高活動型せん妄、混合型せん妄それぞれ、71%、17%、8%と報告されています。長期的な認知機能については低活動型せん妄が3ヶ月後の全体的な認知機能低下、3ヶ月、12ヶ月後のexecutive function低下の有意な関連が認められています。また、低活動型せん妄持続期間と長期的な認知機能低下にも関連が認められています。

2020年7月28日 (火)

硬膜穿刺後頭痛の治療としての蝶口蓋神経節ブロックの効果

Jespersen MS, Jaeger P, Ægidius KL, Fabritius ML, Duch P, Rye I et al: Sphenopalatine ganglion block for the treatment of postdural puncture headache: a randomised, blinded, clinical trial. British journal of anaesthesia 2020, 124:739-47.

デンマークの研究者が行ったRCTで、PDPHの治療としての蝶口蓋神経節ブロックの効果をplaceboと比較した報告です。研究の背景としてPDPHに伴う脳血流の増加に蝶口蓋神経節が関与している可能性が挙げられており、症例報告あるいは小規模のRCTで蝶口蓋神経節ブロックの有用性が報告されているようです。蝶口蓋神経節ブロックは綿棒を経鼻的に挿入し、局所麻酔薬あるいは生理食塩水を10分間塗布して行っています。立位でのVASが75~85mmの40症例で比較した結果、両群とも30分以内にVASの有意な低下が認められ、群間差は認められませんでした。両群とも約半数の症例で硬膜外blood patchが回避できていることから、局所麻酔薬による効果以外の作用がある可能性が考察されています。






 

2020年7月27日 (月)

術前認知機能低下、術中脳波抑制、術後せん妄の関連

Fritz BA, King CR, Ben Abdallah A, Lin N, Mickle AM, Budelier TP et al: Preoperative Cognitive Abnormality, Intraoperative Electroencephalogram Suppression, and Postoperative Delirium: A Mediation Analysis. Anesthesiology 2020, 132:1458-68.

2019年にJAMAに掲載されたENGAGES trialの2次解析で、術前認知機能低下、術中EEGのsupression、術後せん妄の関連をmediation analysisという手法で解析しています。対象患者約1100症例のうち、39%の症例で術前認知機能異常が認められています。術後せん妄は25%の症例で発生しています。術中EEG supressionはの中央値は8分から12分とされています。術前認知機能障害を認めた症例では術中EEGのsupression、術後せん妄、いずれの頻度も有意に高いことが示されています。術後せん妄に関して17.2%が術前認知機能の直接作用で、EEG supressionを介する間接作用は2.4%、28症例でEEG supressionを回避することで1例の術後せん妄を回避出来ると見積もられています。結語ではEEG supressionを回避によるせん妄予防の効果は小さいと述べられています。



 

2020年7月21日 (火)

非心臓手術後の赤血球容積分布拡大と死亡率の関連

Olafsson HB, Sigurdarson GA, Christopher KB, Karason S, Sigurdsson GH, Sigurdsson MI: A retrospective cohort study on the association between elevated preoperative red cell distribution width and all-cause mortality after noncardiac surgery. Br J Anaesth 2020; 124: 718-725

アイスランドで行われたretrospective studyで、手術患者の術前の赤血球サイズのばらつき(RDW)と短期、長期予後の関連を調査しています。研究の背景としてRDW増加は未熟あるいは産生から時間のたった赤血球が流血中に存在する事を反映しており、慢性炎症、酸化ストレス、低栄養によって生じると考えれている点が挙げられています。アイスランドの約2万6千症例をRDWで5分割し、最長5年までの予後を追跡しています。結果として短期予後には差が認められませんでしたが、RDW最小群と比較して、最大群、第2群で有意な死亡リスクの増加が認められています。結語ではRDW増加は慢性炎症と栄養状態のcomposite biomarkerと見なしうると述べられています。

 

2020年7月20日 (月)

心臓外科手術後の腎代替療法開始に関する術中低血圧の閾値

Ngu JMC, Jabagi H, Chung AM, Boodhwani M, Ruel M, Bourke M et al: Defining an Intraoperative Hypotension Threshold in Association with De Novo Renal Replacement Therapy after Cardiac Surgery. Anesthesiology 2020, 132:1447-57.

カナダの研究者がまとめたretrospective studyで、開心術後の腎代替療法のリスク因子としての平均血圧の意義を解析した報告です。7年間約6500症例の成人開心術患者の人工心肺前、人工心肺中、人工心肺離脱後の平均血圧を説明変数として解析しています。腎代替療法の施行率は5.2%で、人工心肺離脱後の低血圧、特にMAP<65mmHgが10分間持続した場合腎代替療法のリスクが12%増加することが示されています。人工心肺前、人工心肺中の低血圧は独立したリスク因子ではありませんが、低心機能、長時間人工心肺、心房細動など他のリスク因子の効果を増強することが示されています。



 

2020年7月17日 (金)

糖尿病合併手術患者におけるmetformin投与と予後の関連

Reitz KM, Marroquin OC, Zenati MS, Kennedy J, Korytkowski M, Tzeng E et al: Association Between Preoperative Metformin Exposure and Postoperative Outcomes in Adults With Type 2 Diabetes. JAMA surgery 2020, 155:e200416.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、手術をうける2型糖尿病患者における術前metformin服用と予後の関連を調査しています。研究の仮説としてmetforminによる抗炎症作用が手術患者の予後を改善する可能性が挙げられています。screening対象となった2型糖尿病患者の59%でmetforminが処方されており、傾向score matchingしたmetformin投与、非投与約2700症例ずつを比較した結果、metformin投与群で90日死亡率、5年死亡率、30日および90日再入院率が有意に低下することが示されています。

 

2020年7月16日 (木)

重症患者におけるストレス惹起性の体動低下と休息覚醒リズムの異常

Maas MB, Lizza BD, Kim M, Abbott SM, Gendy M, Reid KJ et al: Stress-Induced Behavioral Quiescence and Abnormal Rest-Activity Rhythms During Critical Illness. Critical care medicine 2020, 48:862-71.

米国の研究者がまとめたprospective, observational studyで、重症患者における活動性低下、休息覚醒リズムの異常を解析した報告です。活動性低下、休息覚醒リズムの評価にはActigraphという携帯型活動量計が用いられており、脳出血患者59症例、敗血症患者53症例、健常ボランティア、ベッド上安静に協力が得られたボランティア、筋弛緩投与を受けた重症患者を対象として解析が行われています。看護処置による活動性、休息覚醒リズムへの影響はほとんど認められず、脳出血、敗血症患者いずれにおいても睡眠覚醒リズムとは関係の無い活動性低下、休息覚醒リズムの異常が認められました。結果としてこの異常のさらなる解析が必要と結論されています。





 

2020年7月14日 (火)

心臓手術患者におけるremifentanilと血糖の関連

Subramaniam K, Sciortino C, Ruppert K, Monroe A, Esper S, Boisen M et al: Remifentanil and perioperative glycaemic response in cardiac surgery: an open-label randomised trial. British journal of anaesthesia 2020, 124:684-92.

米国の研究者が行ったRCTで、remifentanilとfentanylが開心術の術中から術後のの血糖の変動に及ぼす影響を比較しています。開心術患者106症例を対象とし、remifentanil群ではfentanylを併用せず、remifentanil単独で麻酔管理を行うprotocolとなっています。血糖管理については術中140-180mg/dl、術後は130-160mg/dlを目標としています。結果としてremifentanil群で術中BS>180mg/dlとなる頻度が有意に低下し、insulin投与頻度も低いことが示されています。一方、術後に関しては有意な差が認められませんでした。remifentanil群では術後13-18時間のpain scoreが有意に高い一方、術後30日までの再入院率が有意に低いことが示されています。

 

2020年7月13日 (月)

日帰り手術患者におけるPONV予防手段としてのolanzapineの有用性

Hyman JB, Park C, Lin HM, Cole B, Rosen L, Fenske SS et al: Olanzapine for the Prevention of Postdischarge Nausea and Vomiting after Ambulatory Surgery: A Randomized Controlled Trial. Anesthesiology 2020, 132:1419-28.

米国の研究者が行ったRCTで、日帰り手術患者における帰宅後のPONV予防策としてのolanzapineの有効性を検証しています。olanzapineは術前経口摂取し、PACUでは定期的にondansetronが投与されています。婦人科、形成外科の日帰り手術患者140症例を対象として帰宅後24時間までのPONV頻度を主要評価項目として解析した結果、対照群、olanzapine群でのPONV頻度がそれぞれ38%、14%で統計学的有意差をもってolanzapineの有用性が示されています。olanzapineの副作用としてはsedationの頻度が有意に高値であったと述べられています。

 

 

2020年7月10日 (金)

小児心臓手術患者に対する術中dexamethasone投与が術後合併症に及ぼす影響

Lomivorotov V, Kornilov I, Boboshko V, Shmyrev V, Bondarenko I, Soynov I et al: Effect of Intraoperative Dexamethasone on Major Complications and Mortality Among Infants Undergoing Cardiac Surgery: The DECISION Randomized Clinical Trial. Jama 2020, 323:2485-92.

ロシア、ブラジルおよび中国の4施設で行われたrandomized studyで、12ヶ月未満の小児心臓手術患者においてdexamethasone 1mg/kgが術後30日までの死亡、AKI、人工呼吸期間延長などの術後合併症に及ぼす影響をplaceboと比較しています。月齢中央値6ヶ月の約400症例を対象として解析した結果、dexamethasone群でやや合併症発生率が低い傾向が示されていますが、統計学的有意差は認められませんでした。一方、血糖値はdexamethasone群で有意に高値を示しています。

 

2020年7月 9日 (木)

重症患者におけるメラトニン分泌リズムを障害する因子

Maas MB, Lizza BD, Abbott SM, Liotta EM, Gendy M, Eed J et al: Factors Disrupting Melatonin Secretion Rhythms During Critical Illness. Critical care medicine 2020, 48:854-61.

米国の研究者が行ったprospective, observational studyで、ICU入室から48時間のメラトニン血中濃度、メラトニン代謝物の尿中濃度を頻回に測定した報告です。メラトニン分泌リズムを傷害する因子として中枢神経障害と重症病態を想定していることから脳出血患者59症例、敗血症患者53症例を対象としていますが、人工呼吸が行われているのは40%程度と報告されています。主な結果としてメラトニンの血中濃度はGCSと反比例し、カテコラミン投与と比例して増加することが示されています。これらの患者のメラトニン血中濃度はすでに高値であり、概日リズム回復のためのメラトニン投与は有効でない可能性が高いと考察されています。尿中メラトニン代謝産物の濃度と血中濃度には有意な関係が認められず、尿中メラトニン代謝産物によるメラトニン分泌リズムの評価は困難とされています。



 

2020年7月 7日 (火)

高齢非心臓手術患者ではfrailは術後せん妄と関連するが、認知機能低下とは関連しない

Mahanna-Gabrielli E, Zhang K, Sieber FE, Lin HM, Liu X, Sewell M et al: Frailty Is Associated With Postoperative Delirium But Not With Postoperative Cognitive Decline in Older Noncardiac Surgery Patients. Anesthesia and analgesia 2020, 130:1516-23.

米国の研究者が行ったprospective studyで、術前のfrailと術後せん妄、術後認知機能低下の関連を調査しています。65歳以上の非心臓手術をうける患者167症例を対象として術前のfrail状態、術前および術後3ヶ月の認知機能、術後せん妄の有無を調査しています。術前のfrail状態をrobust、prefrail、frailの3段階に分類し、結果として対象患者の18.6%、48.1%がfrail、prefrailに分類されています。術後せん妄は25.3%の症例で発生し、術前frailまたはprefrailは術後せん妄のリスクを2.7倍に増加させることが示されています。一方、14%の症例で術後認知機能の低下が認められていますが、術前frailまたはprefrail都の有意な関連は認められませんでした。

 

2020年7月 6日 (月)

術後肺合併症に関するsugammadexとneostigmineによる拮抗の比較

Kheterpal S, Vaughn MT, Dubovoy TZ, Shah NJ, Bash LD, Colquhoun DA et al: Sugammadex versus Neostigmine for Reversal of Neuromuscular Blockade and Postoperative Pulmonary Complications (STRONGER): A Multicenter Matched Cohort Analysis. Anesthesiology 2020, 132:1371-81.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、筋弛緩拮抗薬の相違が術後呼吸器合併症に及ぼす影響を解析しています。12施設、約12万症例から背景情報をmatchさせたneostigmine群、sugammadex群それぞれ2万2千症例で比較しています。呼吸器合併症の発生率はneostigmine群、sugammadex群それぞれ4.8%、3.5%で、sugammadex使用により呼吸器合併症の発生リスクを30%低下させることが示されています。



 

2020年7月 3日 (金)

グラム陰性桿菌菌血症に対するCRPを指標とした治療の有効性

von Dach E, Albrich WC, Brunel AS, Prendki V, Cuvelier C, Flury D et al: Effect of C-Reactive Protein-Guided Antibiotic Treatment Duration, 7-Day Treatment, or 14-Day Treatment on 30-Day Clinical Failure Rate in Patients With Uncomplicated Gram-Negative Bacteremia: A Randomized Clinical Trial. Jama 2020, 323:2160-9.

スイスの3施設で行われたRCTで、グラム陰性桿菌菌血症に対する治療期間と予後の関連を3群で比較しています。14日間治療継続群を対照として7日間治療継続群、CRP参照群で30日後の治療不成功が非劣勢かどうかを検討しています。CRP参照群ではCRPの最高値から75%減となった時点で治療終了としています。対象約500症例で平均年齢79歳、感染巣としては尿路感染、起因菌としてはE. coliが最多と記載されています。結果としてCRP治療群での治療期間の中央値は7日間で、CRP参照群、7日間治療群は14日間治療群に対して非劣勢であることが示されています。治療不成功のリスク因子としては体内インプラントの存在、肺感染症が抽出されています。





 

2020年7月 2日 (木)

臨床的なARDS診断:見逃しの生じるリスク因子と経時的変化

Schwede M, Lee RY, Zhuo H, Kangelaris KN, Jauregui A, Vessel K et al: Clinician Recognition of the Acute Respiratory Distress Syndrome: Risk Factors for Under-Recognition and Trends Over Time. Critical care medicine 2020, 48:830-7.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、重症患者を担当したprimary care teamによるARDSの認識と専門家によるARDSの認識のずれを解析した報告です。ARDS networkに参加している施設で2008年から2016年までに専門家によってARDSと診断された141症例を対象として解析した結果、ARDSと認識した症例は70%で、このうち50%で6.5ml/kg未満の低一回換気が用いられています。ARDS認識、低一回換気量いずれも経時的に増加しています。一方、ARDSと認識されていない症例では15%で6.5ml/kg未満の低一回換気が用いられています。見逃しのリスク因子というよりもARDSの正確な診断と関連のある因子としてはAKI、経時的変化および敗血症が抽出されています。

 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
  • 2020年
    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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