Retrospective study

2020年7月 9日 (木)

重症患者におけるメラトニン分泌リズムを障害する因子

Maas MB, Lizza BD, Abbott SM, Liotta EM, Gendy M, Eed J et al: Factors Disrupting Melatonin Secretion Rhythms During Critical Illness. Critical care medicine 2020, 48:854-61.

米国の研究者が行ったprospective, observational studyで、ICU入室から48時間のメラトニン血中濃度、メラトニン代謝物の尿中濃度を頻回に測定した報告です。メラトニン分泌リズムを傷害する因子として中枢神経障害と重症病態を想定していることから脳出血患者59症例、敗血症患者53症例を対象としていますが、人工呼吸が行われているのは40%程度と報告されています。主な結果としてメラトニンの血中濃度はGCSと反比例し、カテコラミン投与と比例して増加することが示されています。これらの患者のメラトニン血中濃度はすでに高値であり、概日リズム回復のためのメラトニン投与は有効でない可能性が高いと考察されています。尿中メラトニン代謝産物の濃度と血中濃度には有意な関係が認められず、尿中メラトニン代謝産物によるメラトニン分泌リズムの評価は困難とされています。



 

2020年7月 2日 (木)

臨床的なARDS診断:見逃しの生じるリスク因子と経時的変化

Schwede M, Lee RY, Zhuo H, Kangelaris KN, Jauregui A, Vessel K et al: Clinician Recognition of the Acute Respiratory Distress Syndrome: Risk Factors for Under-Recognition and Trends Over Time. Critical care medicine 2020, 48:830-7.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、重症患者を担当したprimary care teamによるARDSの認識と専門家によるARDSの認識のずれを解析した報告です。ARDS networkに参加している施設で2008年から2016年までに専門家によってARDSと診断された141症例を対象として解析した結果、ARDSと認識した症例は70%で、このうち50%で6.5ml/kg未満の低一回換気が用いられています。ARDS認識、低一回換気量いずれも経時的に増加しています。一方、ARDSと認識されていない症例では15%で6.5ml/kg未満の低一回換気が用いられています。見逃しのリスク因子というよりもARDSの正確な診断と関連のある因子としてはAKI、経時的変化および敗血症が抽出されています。

 

2020年6月29日 (月)

ARDSを呈しない患者における一回換気量と心機能の関連

Cherpanath TGV, Simonis FD, Bouma BJ, de Bruin-Bon RH, Determann RM, Juffermans NP et al: Myocardial Function during Low versus Intermediate Tidal Volume Ventilation in Patients without Acute Respiratory Distress Syndrome. Anesthesiology 2020, 132:1102-13.

オランダの研究者が行い、2018年にJAMAに掲載されたPReVENT trialのsubstudyで、一回換気量の多寡によってventilator-induced cardiac dysfunctionの程度に差があるかどうかを検討しています。一回換気量4-6ml/kgのlow tidal volume群21症例、一回換気量8-10ml/kgのintermediate tidal volume群20例で人工呼吸開始後myocardial performance indexを比較しています。intermediate tidal volume群ではmyocardial performance indexが増加し、心機能が低下していることが示されています。さらに解析した結果、収縮能の変化が主体であり、拡張能には有意な変化が認められないことが明らかになっています。機序として炎症反応と胸腔内圧の差が考えられると考察されています。

 

2020年6月22日 (月)

非心臓手術後の低gradeのAKIは長期的な腎機能障害と関連する

Turan A, Cohen B, Adegboye J, Makarova N, Liu L, Mascha EJ et al: Mild Acute Kidney Injury after Noncardiac Surgery Is Associated with Long-term Renal Dysfunction: A Retrospective Cohort Study. Anesthesiology 2020, 132:1053-61.

米国の研究者が行ったretrospective studyで、非心臓手術後7日までにAKIを発症した患者の2年後までの腎機能の経過を解析した報告で、特にstage 1 AKIとstage 2以上のAKIの差に注目して行われた研究です。約1万6千症例を対象として検討した結果、術後AKI発生率は3%、stage 1 術後AKI発生患者は非AKI発生患者と比較して術後sCrの上昇が生じるリスクが2.4倍であることが示されています。2年後までの死亡率には有意差認められませんでした。考察ではstage 1 の術後AKIであっても長期予後に悪影響を及ぼすことが明らかになったと述べられています。

 

2020年6月19日 (金)

拡大手術を受ける患者における術前身体機能、認知機能および精神状態と1年後予後との関連

Tang VL, Jing B, Boscardin J, Ngo S, Silvestrini M, Finlayson E et al: Association of Functional, Cognitive, and Psychological Measures With 1-Year Mortality in Patients Undergoing Major Surgery. JAMA surgery 2020, 155:412-8.

米国の大規模databaseを用いて行われたretrospective studyで、66歳以上で腹部大動脈置換術、冠動脈バイパス、大腸切除を受けた症例を対照として術前の身体機能、認知機能および精神状態と1年後予後の関連を解析した報告です。対象患者約1300症例の平均年齢は76歳で、1年死亡率は17%であることが示されています。1年死亡率の独立したリスク因子としてはADLの非自立、instrumental ADLの非自立、2~3blockの歩行に支障あり、認知機能低下およびうつ状態が抽出されました。さらにリスク因子の数に比例して1年死亡率が増加することも示されています。

 

2020年6月18日 (木)

中心静脈カテーテル、動脈カテーテル関連血流感染症の治療に際しては挿入部位を考慮するべきである

Buetti N, Ruckly S, Lucet JC, Perozziello A, Mimoz O, Souweine B et al: The Insertion Site Should Be Considered for the Empirical Therapy of Short-Term Central Venous and Arterial Catheter-Related Infections. Critical care medicine 2020, 48:739-44.

フランスの研究者がこれまでに行ったRCTのデータを集積して行った研究で、カテーテル関連血流感染症およびカテーテルのcolonizationを生じる菌種と挿入部位の関連を解析しています。中心静脈カテーテル約9千本、動脈カテーテル約6千本を対象として解析した結果、中心静脈カテーテル由来の血流感染症は1.23および11.6/1000 catheter days、動脈カテーテルに関しては0.8および11.6/1000 catheter daysであることが示されています。中心静脈カテーテル、動脈カテーテルいずれも大腿で挿入された場合は非発酵性グラム陰性桿菌が起因菌であるリスクが有意に増加していることが示されています。考察ではカテーテルが大腿から挿入されている場合は緑膿菌をカバーした抗菌薬投与が望ましいと述べられています。

 

2020年6月12日 (金)

院内発生、市中発生の敗血症における初期治療バンドルが死亡率に及ぼす影響

Baghdadi JD, Brook RH, Uslan DZ, Needleman J, Bell DS, Cunningham WE et al: Association of a Care Bundle for Early Sepsis Management With Mortality Among Patients With Hospital-Onset or Community-Onset Sepsis. JAMA internal medicine 2020, 180:707-16.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、敗血症バンドル(SEP-1)の適応による予後改善が院内発生の敗血症についても成立するかどうかを検討した報告です。カリフォルニア州の4施設の6400症例が解析対象となり、約4100症例が市中発生、約2300症例が院内発生でした。主要評価項目としては院内死亡率、2次評価項目としては昇圧薬投与期間が用いられています。市中発生の肺血症患者でSEP-1の適応率が高いことが示されています。SEP-1の完全実施はいずれの群に関しても院内死亡率の改善との関連は認められませんでしたが、院外発生敗血症では血液培養と広域抗菌薬投与が死亡率の改善と関連が認められています。一方、院内発生敗血症では広域抗菌薬投与のみが死亡率改善と関連していることが示されています。

 

2020年6月11日 (木)

人工呼吸患者における平均気道内圧による90日死亡の予測

Sahetya SK, Wu TD, Morgan B, Herrera P, Roldan R, Paz E, Jaymez AA, Chirinos E, Portugal J, Quispe R et al: Mean Airway Pressure As a Predictor of 90-Day Mortality in Mechanically Ventilated Patients. Critical care medicine 2020, 48(5):688-95.

ペルーの4施設で行われたprospective, observational studyで、人工呼吸開始から24時間までの平均気道内圧と90日死亡率の関連を検討した報告です。従来から用いられているプラトー圧、駆動圧と比較した平均気道内圧のメリットは分時間気量の影響を受けることから死腔率、二酸化炭素産生量にも影響されることが挙げられています。約1700症例を対象として解析した結果、年齢、APACHE IIIなどに加えてP/F比、平均気道内圧上昇も90日死亡率の独立したリスク因子であることが示されています。予測精度としてはプラトー圧、駆動圧とほぼ同じであったと述べられています。

 

2020年6月 9日 (火)

パルスオキシメーター波形解析による全身麻酔導入時の血圧変動の推定

Ghamri Y, Proença M, Hofmann G, Renevey P, Bonnier G, Braun F, Axis A, Lemay M, Schoettker P: Automated Pulse Oximeter Waveform Analysis to Track Changes in Blood Pressure During Anesthesia Induction: A Proof-of-Concept Study. Anesthesia and analgesia 2020, 130(5):1222-1233.

スイスの研究者が確立したパルスオキシメーター波形から血圧を推定するプログラム(optical blood pressure monitoring, oBPM)の精度を観血的動脈圧との較して解析した報告です。評価としては20%以上の血圧変動の検出が用いられており、観血的動脈圧の変化からoBPMの変化が生じるまでの時間別に解析しています。38症例の麻酔導入時の血圧変化に関して解析した結果、oBPMは60秒以内に発生する急速な血圧変化を極めて正確に予測しうることが示されています。考察では観血的動脈圧測定の代替ではなく、観血的動脈圧測定を行わない患者における非観血血圧測定の間を補完する手段として開発されたと述べられています。

 

2020年6月 4日 (木)

急性病態後の慢性疼痛の疫学

Koster-Brouwer ME, Rijsdijk M, van Os WKM, Soliman IW, Slooter AJC, de Lange DW, van Dijk D, Bonten MJM, Cremer OL: Occurrence and Risk Factors of Chronic Pain After Critical Illness. Critical care medicine 2020, 48(5):680-687.

オランダの研究者がおこなったretrospective studyで、4年間にICUで48時間以上治療を受けた患者を対象として1年後の慢性痛の有無、性状を調査した報告です。約1000症例から調査への協力が得られ、慢性痛の発生頻度は18%であることが明らかになりました。慢性痛の性状としては神経傷害性疼痛、侵害性疼痛がそれぞれ半数ずつと報告されています。慢性疼痛の独立したリスク因子としては女性、高度の炎症が挙げられています。

 

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近況報告

  • 体液代謝管理研究会
    2/22(土)に昭和大学で体液代謝管理研究会が開催されます。管理人は共催セミナーで「輸液は腎臓を守れるか」というタイトルで発表させていただきます。多数のご参加をお待ちしております。
  • 2020年
    13年目になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後の筋弛緩に関するシンポジウムに多数のご参加いただきありがとうございました。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
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