Retrospective study

2019年11月12日 (火)

下腿の骨折手術の麻酔方法は術後合併症に影響しない

 Brovman EY, Wallace FC, Weaver MJ, Beutler SS, Urman RD. Anesthesia Type Is Not Associated With Postoperative Complications in the Care of Patients With Lower Extremity Traumatic Fractures. Anesthesia and analgesia 2019;129:1034-42.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、米国外科学会の大規模databaseを用いて、下腿、足関節の骨折観血的整復手術における麻酔方法と30日死亡率、術後合併症の頻度を比較した報告です。2011年から2016年の間の該当患者は約1万8千症例で、神経幹麻酔、伝達麻酔での施行は約9%とされています。対象患者から傾向スコアマッチングを用いて全身麻酔、神経幹麻酔/伝達麻酔約1600症例ずつを抽出し、比較したところ30日死亡率、合併症発生率には有意差が認められませんでした。結語では下肢の骨折手術では患者あるいはproviderのpreferenceで麻酔方法を選択することもあり得ると述べられています。

 

2019年10月31日 (木)

ARDS患者では補助呼吸中の駆動圧が予後に関連する

Bellani G, Grassi A, Sosio S, et al. Driving Pressure Is Associated with Outcome during Assisted Ventilation in Acute Respiratory Distress Syndrome. Anesthesiology 2019;131:594-604.

木曜日は集中治療関連の論文紹介で、本日はAnesthesiologyに掲載となった論文です。イタリアの研究者がまとめたretrospective studyで、ARDS患者における駆動圧と予後の関連を補助呼吸下で解析しています。ARDS患者15、4症例をたいしょうとして対象として調節呼吸から補助呼吸に変更となった後3日間の駆動圧を測定しています。補助呼吸下での駆動圧測定は吸気holdを2秒間施行して測定すると記載されています。対象患者の死亡率は22%で、駆動圧は死亡の独立したリスク因子であることが示されています。

 

2019年10月29日 (火)

高齢者では年齢補正MACより高濃度の揮発性麻酔薬が投与されている

 Ni K, Cooter M, Gupta DK, et al. Paradox of age: older patients receive higher age-adjusted minimum alveolar concentration fractions of volatile anaesthetics yet display higher bispectral index values. British journal of anaesthesia 2019;123:288-97.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、実臨床における呼気終末揮発性麻酔薬濃度とmeta regressionで求めた年齢補正MACの関係を検討した報告です。30歳以上の全身麻酔患者約7000症例を対象として解析し、同時に年齢別のBIS値も解析しています。meta regressionでは10歳年齢が上がると約6.5%ずつMACが低下しますが、実臨床で投与されている揮発性麻酔薬濃度は10歳年齢が上がる毎に3%づつ低下し、結果として高齢者では相対的に高濃度の揮発性麻酔薬に暴露されていることが明らかになりました。BIS値も高齢者では逆説的に高値をとることが示されています。結語では、高齢者では年齢補正MACに基づいた慎重な揮発性麻酔薬濃度の調整が望まれると記載されています。

 

2019年10月28日 (月)

術後せん妄はADLの低下と関連する

Shi Z, Mei X, Li C, et al. Postoperative Delirium Is Associated with Long-term Decline in Activities of Daily Living. Anesthesiology 2019;131:492-500.

中国の研究者がまとめたprospective, observational studyで、65歳以上、全身麻酔下に整形外科手術をうける130症例を対象として、術後4日までの術後せん妄と術後24から36ヶ月後のADL、死亡率の関連を解析しています。対象患者の26%で術後せん妄が認められており、術後せん妄を生じた症例では術後ADLが有意に低下すると共に、36ヶ月死亡率が有意に高いことが示されています。結語では、高齢手術患者では術後せん妄を予防する意義が高いと述べられています。

 

2019年10月24日 (木)

腎代替療法施行中の重症患者における体液過剰と腎臓関連のイベントの関連

Woodward CW, Lambert J, Ortiz-Soriano V, et al. Fluid Overload Associates With Major Adverse Kidney Events in Critically Ill Patients With Acute Kidney Injury Requiring Continuous Renal Replacement Therapy. Critical care medicine 2019;47:e753-e60.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、持続的腎代替療法を施行した重症患者約480症例を対象として、体液過剰(FO)と腎臓関連イベント(major adverse kidney event, MAKE)の関連を検討しています。FOは水分バランスを入室時の体重で除した数値を用いています。FOが10%未満、10%以上で解析した結果、FO>10%がMAKEおよび院内死亡率の有意なリスク因子であることが示されています。また、利尿薬の使用がMAKEのリスクを有意に低下させることが示されています。結語ではroutineにFOを計算することを推奨すると述べられています。

 

2019年10月17日 (木)

早期離床プログラムがもたらす臨床的、経済的効果

Liu K, Ogura T, Takahashi K, et al. A Progressive Early Mobilization Program Is Significantly Associated With Clinical and Economic Improvement: A Single-Center Quality Comparison Study. Critical care medicine 2019;47:e744-e52.

日本の研究者が行ったbefore-after studyで、ICUにおける段階的早期離床プログラムが死亡率および医療費に及ぼす影響を解析しています。プログラム適用前後、それぞれ約200症例を対象として解析した結果、死亡率が24%から11%に減少し、多変量解析の結果、ハザード比が0.25であることが示されています。またプログラム適用前は経時的にコストが増加する傾向があったのに対して、プログラム適用後は経時的にコストが低下することが示されています。

 

2019年10月15日 (火)

脊椎手術における血管収縮薬投与とAKI発生との関連

Farag E, Makarova N, Argalious M, et al. Vasopressor Infusion During Prone Spine Surgery and Acute Renal Injury: A Retrospective Cohort Analysis. Anesthesia and analgesia 2019;129:896-904.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、脊椎手術における昇圧薬投与が術後腎機能に及ぼす影響を検討しています。解析対象約1800症例の38%で昇圧薬の持続投与が行われており、98%でphenylephrineが用いられています。傾向スコアマッチングで抽出した540症例ずつを比較した結果、両群で腎機能には差が認められず、昇圧薬投与がAKI発生のリスクには該当しないことが示されています。結語では昇圧薬投与を回避するために低血圧を許容するのはpoor strategyと述べられています。

 

2019年10月11日 (金)

大腸直腸がん患者におけるプレハビリテーションが予後に及ぼす影響

Trepanier M, Minnella EM, Paradis T, et al. Improved Disease-free Survival After Prehabilitation for Colorectal Cancer Surgery. Annals of surgery 2019;270:493-501.

カナダの研究者が過去に施行した3編のRCT、observational studyのdataを用いて行った2次解析で、術前の運動、栄養および鬱状態に対するコンサルトからなるprehabilitationが長期予後に及ぼす影響を解析しています。202症例を対象として解析した結果、prehabilitationは5年生存率の改善とは関連しないことが示されています。一方でstage III患者に限定するとprehabilitation施行によって5年間の無再発生存率が有意に改善することが示されています。また、多変量解析の結果でもprehabilitation施行によって5年間の無再発生存率が改善することが示されています。

 

2019年10月 8日 (火)

血液製剤投与を受けた非心臓手術患者の術後Hb濃度と予後の関連

Will ND, Kor DJ, Frank RD, et al. Initial Postoperative Hemoglobin Values and Clinical Outcomes in Transfused Patients Undergoing Noncardiac Surgery. Anesthesia and analgesia 2019;129:819-29.

米国の研究者がまとめたretrospective studyで、輸血をうけた患者の予後を解析するに際して、輸血開始時のHb濃度ではなく、手術終了時のHb濃度を用いているのが特徴です。Mayo Clinicで非心臓手術中に輸血を施行した約8000症例を対象として、28日までのhospital free daysをprimary outcomeとして解析しています。手術中の最低Hb濃度、術直後のHb濃度の平均値はそれぞれ8.1g/dl、9.9g/dlで、Hb 9.5-10.4g/dlを基準として解析した結果、Hb<7.5g/dlおよびHb>11.5g/dlで28日までのhospital free daysが増加し、予後が不良となることが示されています。低Hb群ではAKIおよび脳梗塞、高Hb群では人工呼吸期間延長のriskが増加しています。

 

2019年10月 7日 (月)

術後せん妄と術後認知機能低下の関連

Daiello LA, Racine AM, Yun Gou R, et al. Postoperative Delirium and Postoperative Cognitive Dysfunction: Overlap and Divergence. Anesthesiology 2019;131:477-91.

米国の研究者が行ったprospective study (SAGE study)のdataを用いて行った2次解析で、術後せん妄と術後認知機能低下の関連を検証しています。整形外科、血管外科および大腸手術をうけた平均77歳の患者560症例を対象として術後1, 2, 6ヶ月後の認知機能の評価を行い、-2SD以上の低下を術後認知機能低下と定義しています。術後せん妄の発生率は24%、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後の認知機能低下の発生率は47%, 23%,16%で経時的に低下しています。両者の相関は術後1ヶ月後では有意差が認められていますが、2ヶ月以降は有意な相関は認められませんでした。結語では術後せん妄と術後認知機能低下は別の病態かもしれないと述べられています。

 

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近況報告

  • 臨床麻酔学会シンポジウム
    11/8(金)午後に筋弛緩に関するシンポジウムが予定されています。多数のご参加をお待ちしております。
  • 第66回日本麻酔科学会
    初日の午後のシンポジウムおよび最終日のリフレッシャーコースで発表させていただきます。2日目の学術委員会企画でも座長を仰せつかっております。多数のご参加をお待ちしております。
  • 集中治療医学会@京都
    第20会場でのICUモニタリングup-to-dateというシンポジウムに多数ご参加いただきありがとうございました。
  • J Intensive Care
    本年もreviewer of the yearに選んでいただきました。
  • 麻酔科研修ノート第3版
    稲田先生、上村先生、土田先生、村川先生編集による第3版が刊行されました。管理人も3項目執筆いたしました。
  • 2019年
    12年目になりました。ひきつづきよろしくお願いいたします。
  • Web seminar
    9/25夕方、大塚製薬工場さん主催のweb seminarで「生理学でひもとく最近の周術期循環管理」という内容で発表させていただきました。再放送も予定されているとのことですので、ご興味のある方は大塚製薬工場の担当者にご相談ください。
  • 病院移転
    6/16に行われた管理人の施設の移転が地上波で放送されることになりました(7/27夜NHK)。
  • 病院移転
    管理人の勤務先の新病院への移転が6/16に行われ、無事終了いたしました。
  • 集中治療医学会@幕張
    2/22(木)の午後のCTG委員会企画のシンポジウムに多数ご参加頂きありがとうございます。
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